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番外編 第2話

「あれ?しないの?」 門倉の後にお風呂に入った綾人はベッドに入るものの、やたらと難しそうな分厚い本を読み続けてはソファから立ち上がらない門倉に首を傾げた。 「うん。今日はゆっくり寝ていいよ。その代わり明日は出かけよう」 本から視線を外さず、門倉が告げると綾人は自身の姿に目線を落とす。 どうせ直ぐに脱がされるという理由でパンツも履かず、門倉が貸してくれたダボダボの太ももまで隠れるTシャツを一枚着ただけの姿だったのだ。 「・・・・・そう」 どういった風の吹き回しだと、首を捻った綾人はベッドから抜け出し、脱衣所からパンツを持ってきた。 ペタペタと自分の前を卑猥な格好で行き来する綾人に精神統一していた門倉はムラムラしてくる。 更に、煽るかのようにソファへ腰掛けパンツまで履き始める始末。 「・・・誘ってんの?」 本に集中出来なくなってきた門倉が責めるように聞くと、キョトンと目を丸くした綾人が頭の上にハテナマークを浮かべた。 決して誘っているわけでもなく、ただ無邪気かつ無防備なだけなのを認識した門倉はこの純真無垢な天使に苛立ちを覚えた。 「綾は少し男をなめてるよね」 本を隣に置くと、前のソファに座る綾人へ身を乗り出し、腕を掴んで引き寄せた。 「え!?な、何!?」 少し乱暴な門倉の行動に驚く綾人は引っ張られてテーブルへ前のめりになる。そのまま門倉に引き寄せられてテーブルの上へと引き摺り上げられた。 ぺたんっとアヒル座りにて行儀悪くもテーブルに座らされた綾人は居心地の悪さから降りようとした。が、それを門倉に止められ、加えてとんでもない要求をされた。 「下着脱いで足大きく開いて」 「えっ⁉︎」 突拍子ない台詞に目を見開き、固まると繰り返し告げられる言葉に要求がまた一つ付け足された。 「下着脱いで足を大きく開いて、自分で気持ちよくなってみて」 紅茶色の瞳が細められ、ソファへ深く腰掛けた門倉は長い足と腕を組み、絶対的な威圧感の篭る声音での命令を下した。 そんな命令を前に羞恥に晒される天使は顔を真っ赤にして、いつもとどことなく雰囲気の違う門倉にどきまぎしては戸惑いを隠せずにいた。

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