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番外編・第6話

「いただきます」 差し出されたレモンティーを受け取り、封を開けて一口飲むと、それを確認した門倉がにっこり微笑んでテーブルに頬杖をついた。 王子と名高いだけあって、整ったその美貌にざくろの目が奪われる。品性漂う門倉の優美さに臆してしまうと、目を伏せた。 「可愛いな。容姿でいうとお前も相当可愛いのに、なんで綾にだけドキドキするのかね〜」 困ったようにフッと微笑んでは独りごちてコーヒーを飲む門倉にざくろが目を向けた。 最近の門倉は綾人に対して余裕がない。 いつも飄々としてはお軽い感じだが、自分が見る限り綾人にだけは慎重に接しているように見えていた。 今みたいにジュース一つにしても、買ったあとそのまま手渡すのでは無く封を開けて直ぐ飲めるように差し出したり、綾人の視線を追いかけては次に何が欲しいのか、したいのかを観察しては綾人がそれを口にする前にそれらを用意していた。 一つ一つの所作も言葉も綾人には丁寧で愛に溢れているのだ。 残念なことに、当の本人である天使には通じてはいないようだったが・・・。 「ねぇ、西條」 「はい」 「綾の欲しいものって分かる?」 「綾の欲しいもの?」 おうむ返しにて聞くと、門倉が大きく頷く。 「何か、コレいいなとか、欲しいなとか言ってないかな?」 「・・・ん〜。そうですね。モノというより門倉先輩に優しくして欲しそうですよ?」 天を仰いで考え抜いたあと、ざくろが告げると門倉がキョトンとした。 「俺、優しくしてない?」 「いや、俺も相当優しいとは思いますけど、その・・・あの・・、夜とか・・・・」 顔を赤く染めて俯き、消え入りそうな声で答えると門倉があぁ〜と、納得するように声を上げた。 「綾ちゃん、お子様だからちょっと先週は刺激強かったのかな?」 ケラケラ笑っては全く反省してない様子の門倉にざくろが忠告した。 「綾にはモノより心を捧げた方がいいと思いますよ?人の気持ちを重んじる優しい子なんで・・・」 分かるでしょう?と、上目遣いにてざくろが聞くと門倉はなるほど。と頷いた。 「ありがとう、西條。いいこと聞けたよ」 ふわりと嬉しそうに微笑む門倉にざくろも笑顔になると、他愛ないお喋りをしてから二人は互いの部屋へと戻っていった。

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