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番外編・第7話
ざくろと別れたあと門倉は綾人がいるであろう談話室へと向かった。
綾人の話をしたせいか、途端に顔が見たくなって仕方がなくなったのだ。
一年生が集う談話室へ着くと、皆ゲーム片手にわいわい綾人を囲んでは楽しそうに騒いでいる。
中央にて囲まれる綾人は周りからとにかくチヤホヤされてはいたが、愛想笑いを浮かべるだけで最近ハマったと言っていた漫画の本を読んでいた。
漫画を読むなら自分の部屋で読めばいいのにと顔には出さぬ嫉妬を胸に一年生の輪の中へ入っていくと、門倉の姿を目に止めた生徒達は口をあんぐり開けて騒ぐことをやめた。
一気に静かになるクラスメイト達に顔を上げた綾人は不躾にも人差し指を差して名前を呼ぶ。
「門倉先輩だ!どうしたの?」
こんな場所に珍しいと目を瞬かせる綾人に門倉がニコリと微笑むと、ダメ元で誘ってみた。
「美味しそうなケーキを貰ったんだ。食べに来ない?」
「ケーキ?生クリーム?チョコレート?」
「生クリームのイチゴのケーキ」
「行く!」
チョコより生クリーム派の綾人は瞬時に立ち上がるとクラスメイト達にひらひら手を振って門倉の元へと駆け寄ってきた。
無邪気な言動が愛おしい分、食べ物如きで釣られる幼さが心配にもなる。
「綾ちゃん、借りてくね。ごめんね」
綾の肩を掴んで他の生徒へ笑顔で接すると、クラスメイト兼、親衛隊達は皆、羨ましそうに二人の姿が見えなくなるまで眺めた。
「どうぞ。召し上がれ」
イチゴの生クリームたっぷりのショートケーキをテーブルの上へ置いて、冷たいカルピスを添えてやると綾人は目をキラキラさせていただきますとおやつを食べ始めた。
ケーキを貰ったのは決して嘘ではなく、甘いものが苦手な為、夜にでも綾人へ持っていってやろうと思っていたものだった。
「美味しい?」
「うん!凄く美味しい!生クリームがあま〜い!!」
幸せと笑う綾人につられて門倉も笑顔になる。
綾人の隣に自分で淹れたアイスコーヒーを持ってソファへ座ると、門倉は足をパタパタさせて嬉しそうにケーキを食べ続ける綾人へ言った。
「誕生日はイチゴたっぷりの生クリームケーキを用意するね」
黙ってサプライズしようと思ったが、可愛い姿に我慢が効かず門倉はもうすぐ近付く綾人の誕生日の話題を口にした。
「え?」
「綾ちゃん、もうすぐ誕生日でしょ?お祝いしよう」
驚いた顔でこっちを見る綾人に門倉はふふっと楽しげに笑って綾人の頬に付いた生クリームを長い指で拭う。
「欲しいものがあるなら教えて。プレゼントするから。あと、して欲しいことも全部叶えてあげるよ」
硬直しては無表情にて固まる綾人の頬をどうしたの?と、プニプニ摘んで引っ張ってやる。
すると、我に返った綾人が天を仰いで他人事のようは口振りでボヤいた。
「そっかぁ、7月なんだ!っていうか誕生日、何日だっけ?」
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