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番外編・第9話

「だ〜か〜らぁ!いらないってばっ!!」 何度となく誕生日を祝おうと誘ってくる門倉に綾人は段々と苛立ち始め、遂には怒り出してしまった。 「どうしてそんなに誕生日が嫌なわけ?」 食い下がる門倉を睨みつけるとソファを立ち上がり、綾人は怒鳴り声まで上げ始めた。 「誕生日が嫌なんじゃなくて、先輩みたいに誕生日如きで舞い上がる奴が嫌なのっ!!」 自分の腕を掴んでいた門倉の手を振り払い、綾人は門倉を一瞥した。 「ケーキ、ご馳走様でした。とりあえず、僕の誕生日はスルーして下さいね!祝られてもただ気分を害するだけなんで!」 最後にキツく念押しをする綾人は部屋を出て行ってしまった。 残された門倉は唖然としたまま目を瞬かせる。 何をそんなにムキになって嫌がっているのか理解が出来ない。 出来ることなら恋人の誕生日は祝ってやりたい。 プレゼントを用意して、美味しいものを一緒に食べ、笑顔を見せて欲しかった。 が、少しそれは無理なようで門倉は重い溜息を吐いた。 「大々的に祝われるのが嫌なのかな・・・」 速水は毎年、電話を寄越すと綾人が言っていた。 それなら、ささやかなものでもプレゼントを用意しようかと門倉はソファから立ち上がり、机の引き出しから外出届を取り出した。 「綾ちゃん、今日は外食しよう」 「えー。めんどい・・・」 金曜日の夕方、自分と綾人の分の外出届けを提出していた門倉が夕食を誘った。 寮の食堂で食べようと嫌がる綾人の手を引っ張って門倉は無理矢理、外へと連れ出した。 「綾ちゃんの好きなものでいいよ。何、食べたい?」 タクシーへ乗ってあてもなく車を走らせる門倉が言うと、綾人は外の景色を眺めながらそうだな〜っと呑気に考え始めた。 珍しくなかなか決まらない綾人に門倉が運転手へ行き先を告げた。 それは大手デパートで綾人はそれなら屋上のレストラン街で食べようと提案した。 勿論、反対する理由もない門倉は笑顔で頷く。 こうして寮の外へと綾人を連れ出す第一関門を突破したと門倉は胸を撫で下ろしていた。

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