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番外編・第13話
7月24日、何の解決策もないまま綾人の誕生日が結局訪れた。
平日なこともあり、普通に登校しては変わりない日常を淡々と過ごし、下校する綾人は周りに誕生日を教えていないことから日々のペースを保っていた。
一方、門倉はというと、なんだかんだと断念出来ずに綾人へあのイルカの抱き枕をプレゼントとして購入していた。
更にイチゴと生クリームたっぷりの大きなホールケーキを用意しては、寮の部屋で一人どうしたものかと頭を抱えている。
自分のエゴにて今日を祝うのは綾人に酷なのだと思うと、これらのプレゼントを渡せずにいた。
そんなプレゼントとケーキを前に悶々としていた時、部屋の扉が叩かれ視線を上げると返事を待たずに扉が開かれた。
「門倉、食堂で生徒が揉めてるって・・・って、そのケーキ何?」
寮長の役割も果たしている門倉に寮内での問題を相談しにきた幼馴染みの九流は大きな包み紙と明らかなバースデーケーキを見て目を丸くした。
「・・・・猛か。これ、お前にやるよ」
ソファから立ち上がり、本格的に綾人の誕生日を祝う事を諦めた門倉は九流へこれらの贈り物を押し付けると、揉め事が起こっているという食堂へと向かった。
部屋に取り残された九流はケーキのど真ん中に書かれているバースデーメッセージに苦笑する。
『お誕生日おめでとう 綾人』
ケンカでもしたのかと、素直じゃない幼馴染みに世話が焼けると、何の事情知らない九流はケーキとプレゼントらしき包みを手に持つと、本来受け取るべき相手の場所へ配達してやる事にした。
ー コンコン ー
夕食時なことから部屋にいるのか少し不安ではあったが、綾人が誕生日ならば門倉との喧嘩は早く仲直りして一秒でも早く良い時間を過ごすべきだと九流は勤しんだ。
誕生日は特別。と、意外にもロマンチストで情熱的な考えの九流は綾人が部屋にいることを祈る。
「はーい!」
中から男にしては高い声の綾人の声が聞こえてきて九流は安堵した。
「どちらさま〜?」
ガチャっと扉が開いた瞬間、九流は綾人の目の前に大きなバースデーケーキを突き付けた。
「誕生日おめでとう。白木」
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