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番外編・第16話
無我夢中で綾人を引き止めた事で門倉の手からはケーキが落ちて玄関を派手に汚した。
「ケーキ!!」
ケーキごと抱きしめる形を取られた綾人の体にも生クリームは付き、イチゴがたくさん乗っては華美に飾られていたケーキが地面にて無様な姿へと変貌する。
「勿体な・・・っんぅ!」
拾おうとしたとき、右頬を掌で無理矢理振り向かされた綾人は門倉から唇を奪われた。
門倉の手は生クリームが沢山付いていて綾人の頬をも汚していった。
「ンッ・・・ぁ、ぅ・・・ッン・・」
舌を絡めて激しいキスを与えてくる門倉に綾人の体から力が抜けて、立つ事が出来ないと地面へズルズル座り込んでいく。
門倉もそのまま床へ膝をつくと、足りないと抱き締めては再び綾人へ口付けた。
「はぁ・・・ァ、く、るしいっ・・・・」
息が出来ないと門倉を押し退け、唇を離したら生クリームの付いた大きな掌に前髪を掻き上げられ、瞳を覗き込まれて微笑まれた。
「綾、誕生日おめでとう」
蜂蜜色の瞳が大きく見開かれ、顔が赤くなるのを自分でも感じた。
紅茶色の瞳が優しく細められ、祝って貰ってるはずの自分より嬉しそうな門倉に心臓がドキドキ高鳴っていく。
「綾と出逢えて嬉しいよ。この17歳の誕生日を一緒に過ごせて、凄く幸せだ」
コツンっと、額と額を当てて想いをぶつけてくる門倉に綾人はギュッと目を閉じてぶつかる様に抱きついた。
「・・ぁ、ケーキが・・・、もったない・・」
顔中キスをされ、恥ずかしさから目を伏せたら崩れ落ちたケーキに綾人が手を伸ばした。
地面に触れてない大粒のイチゴを指先で摘むとたっぷり生クリームを付けてパクっと一口食べる。
「ん。美味しい!」
えへへと笑う天使に門倉が愛しいと、その場に綾人を押し倒す。
「わぁ‼︎な、なに!!?」
景色が一転して焦った声を出すと門倉は掌でケーキを鷲掴むと、ベラっと綾人のシャツを捲り上げて胸から腹部にかけてケーキを撫で付けた。
「や、止めてよ!!」
汚いと声を荒げる綾人を押さえ込み、ベルトを外してズボンと下着もずり下げると先程と同じように門倉は綾人の体へケーキをベタベタ塗りたぐっていった。
「よ、汚れる!やめてってば!!」
腰も太腿も、そして性器までもが生クリームだらけにされて気持ち悪さと食べ物を粗末にしている後ろめたさに綾人は暴れた。
「俺がちゃんと綺麗に食べるから大丈夫だよ」
ベロリと足の付け根に付いた生クリームを舌で舐め取られ、綾人は息を呑んで体を竦めた。
「あ、あ、甘いの嫌いでしょ!!?」
恥ずかしさからワタワタしながら門倉を制するように言うと、門倉は意地悪く微笑んで舌舐めずりした。
「じゃあ、綾も食べるの手伝って」
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