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番外編・一緒に暮らそう 11話

「綾ちゃん。ちょっと話し合おうか?」 部屋にとりあえず入ろうと門倉が綾人の手を引いて中へと誘った。 リビングのソファに向かおうとしたら、綾人に手を引かれてベッドのある方へ連れてかれる。 「しよ?……それとも、今日帰ってくるの遅かったから誰かとした?」 上目遣いで、涙を溜めた蜂蜜色の瞳が悲しげに揺れて、門倉はゴクリと喉を鳴らせたあと、目の毒だとばかりに視線を伏せ、自我を保つべく深呼吸をした。 一拍おいて、そのままベッドへ座る綾人に言い聞かせるように門倉は答えた。 「綾ちゃん。変な誤解してるみたいだけど、俺、浮気とかしてないから」 「……」 「さっきの電話も神楽がやたらしつこく最新の玩具を買ってくるから……」 「どんな玩具?……使っていいよ」 門倉の言葉を遮り、綾人が少し震える手で大きな掌を握り締めながら言った。 恥じらう天使は少し怖がってもいるようで、門倉はどうしたものかと頭を悩ませる。 「……門倉先輩、最近本当に満足してないでしょ?僕をイかせたあと一人でしちゃうし」 「……でも、綾は気持ちがいいんだろ?」 「気持ちよくない。一緒に気持ちよくなってくれないなら、エッチなことしたくない」 眉間に皺を寄せて本音を語る綾人に門倉は少し驚いた。 「俺がしたいようにして、本当にいいの?綾ちゃん泣くよ?」 俯く綾人の顔を覗き込む為、門倉は地面に膝を付けて聞いた。 蜂蜜色の瞳が不安げに揺れたが、自分と目が合うとギュと閉じて小さく頷かれる。 「怖いの我慢するの?俺、マジで心は満たされてるから別に今のままでもいいよ?」 門倉は何をどう勘違いされているのか、いまひとつ分からなくて優しく諭した。 体は確かに言われるように満足してないが、綾人の心の安定と愛らしさに毎度自身の気持ちは満たされていた。 アブノーマルな性癖で、相手の子がよがり狂っては痴態を披露し、快楽の淵まで追い込んで突き落とすのが趣向ではあるが、好きな子がリラックスしながら、こうして身を任せてくれる姿も悪くないと思い始めているのも本当だ。 今なら綾人が望むようにしてやれると思った。 それなのに…… この天使は……… 「門倉先輩になら、何されてもいい」 白い手でギュッと自分の手を掴んで懇願された。この瞬間、門倉の中でプチッと音を立てて何かが切れるのを感じた。

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