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第6話:プレイ

「は、あ……かしわぎ、せん、せ……」  診察ベッドに腰掛けたコンタ――『佐々原翔太』の口から、切なげな吐息が漏れた。  服を上げて上半身を露にした佐々原の胸を、ひんやりとした聴診器が滑っていく。 「どうしたのかな? 胸の音を聴いているだけだよ」  敏感な突起のすぐ傍をわざとらしく行き来され、一方的にじれったさが募る。 「顔が紅いね。熱が上がってきたかな」  ちょっと触るよ、と言って、柏木の手が佐々原の首元に伸びる。  リンパの腫れを確認する手つきがねっとりとしていやらしく、触れられる度に、快感を求めるスイッチを次々にオンにされていくようだった。 「せんせ……もっと、違うとこ、触って……」 「痛む所でもある? 自分で触ってみて」  柏木の低いながらもよく通る艶やかな声に意地の悪い色が混ざり、眼鏡の奥の細い目が更にすいと細められる。  その視線に促されるように、佐々原は自らの乳首に手を伸ばした。 「こ、ここ……ん、触ってほし……」  くりくりと服の上から両の突起をいじる佐々原の様子を眺めていた柏木が、クスリと笑う。 「もっと他に触って欲しい所があるだろう」 「や、あ……そんな……」  俯き気味で恥じらう佐々原に、柏木の欲求がずくりと刺激される。  診察ベッドへ乗り佐々原の後ろへ回り込むと、佐々原の右手を取って丘陵状に盛り上がった下半身へ誘った。 「ほら、ここ。こっちの方が触って欲しいんじゃないのかい?」  熱が集まるそこを、柏木に掴まれた自分の手が行き来する。  まるで柏木にされているような感覚になり、往復する度にビクビクと硬さを増していった。 「あっ、だめっだめっ、でちゃ……このままでちゃうっ!」 「どうして欲しい? きちんと言ってごらん」  佐々原の手の動きをいっそう速めてやりながら、柏木が耳元を擽るように囁いた。 「せんせっ……柏木せんせいの手で、出してほし……っ」 「こういう風に?」 「あぅっ」  佐々原が言うや、柏木の右手が下着の中へ滑り込む。いつ行ったのか、既にズボンの留め具は外されていて、前が全開になっていた。 「あっ、すご……先生の手、きもち……」 「すごいね。もうこんなに硬くして」  まとわりつくようにして陰茎をなぞる柏木の手に、佐々原が自分の手を添える。 「……せんせ、……はっ……ん、あの、特別室の患者さん……」 「特別室?」  特別室という単語に、柏木の手の動きが緩くなる。明らかに何かあるその様子を見て、佐々原は言葉を続けた。 「もしかして、先生……あそこの患者さんともこんなこと、してる……?」  心配そうな顔を向けた佐々原に、柏木は一瞬目を丸くして、それから「あはは」と声を出して笑った。 「まさか。してる訳ないだろう」 「この前、夜に先生が特別室から出てくる所を見かけて……僕、気になって……」 「こういうことをするのは君だけだよ……」 「ぁあ……うっ、ん……」  首筋に唇を這わせ、左手をスクラブの下へ潜り込ませて乳首を弄ぶ。  局部から一旦離れた右手は、佐々原にズボンを脱ぐよう誘導している。 「そんなことを気にしていたのかい?」 「だって……んっ、特別室……あっ……僕たちには情報、降りてこないか、ら……」  よがりながらも拗ねた色を醸す佐々原に、柏木がふっと笑った。 「あそこに居るのは、河野先生だからね。色々と気を遣わないとならないお客様なんだよ」 「ん、あっ……こうの、せんせい……?」 「そう。国会議員の……」 「あっ、あっ……」 「こっちも好くしてあげよう」  乳首を離れた左手が、太股の方から下着の中へ侵入し、佐々原の窪みを練る様にして動かされる。指にはいつの間にやらねとりとローションが塗られていて、手際の良さが手品のようだ。 「んうぅっ、そこっ、そこっだめっ……」 「ここはなんて言うところ? 言ってみて」 「ぜっ……ぜんりつ、せ……んんぅっ!」  優しいけれども激しい柏木の手技に、佐々原の快感が昇りつめていく。 「いっ、あっ、ふぅッ……イッ……くぅ……!」  極限まで高められた佐々原の精が飛び散って、柏木のしなやかに整った指を伝って流れた。

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