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第3話の13

「…こんなの、やっぱり初めてだろう?」 「…はい…」 土方の囁きにも、うなずくのが精いっぱいだった。 当たり前だった。 客だろうが何だろうが、 「恋しい」と思った相手は土方が初めてだったのだから。 もう、太夫の手練手管など知ったことではなかった。 それは体の変化で土方にはわかってしまっていただろう。 そして…双蘭の体は正直に気持ちを表しているということも… すると土方はくすぐったそうな瞳の笑顔で、 「…俺だって初めてだよ…」 「…えっ?…」 一瞬、意味が分からなかった。 が、また土方は双蘭の首筋にくちびるをさまよわせながらも、 耳元で囁いていた。 …最後がお前みたいな男でよかったよ… それって…双蘭はその言葉にひっかかりを感じたまま… 「…ん…あ…」 次の瞬間…双蘭は生まれて初めて、 「本当に恋しいお方」の手の中に落ちていた…

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