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第3話の12
自分が客と浮名を流すくらい数をこなした陰間であることが土方には嬉しいのか、
それとも陰間とはいえ運命の人だと告げられることの方が嬉しいのか…
とにかく、嫌われたくない。
すると土方は闘いに向かう前はこうもあろうかという嬉しそうな笑顔で、
「男とやるってのはな…」
こうやるんだよ、と双蘭はあっと言う間に夜具に押し倒され、
両手を抑え込まれ、くちびるを激しく奪われていた…
が、土方はすぐに顔を離し、
「悪い。くちびるはご法度だったな。」
その口調があまりに実がこもった声音だったので、双蘭はただ嬉しく、叫んだ。
「いいえ、お奉行さまになら…」
「そうか、いいんだな…」
「…お奉行様のお好きにしていただけたら、本望で…」
そう答えながら、土方のくちびるで声がくぐもる。
双蘭はもう喘ぐような吐息をもらしていた。
そして狂おしく、土方の首に両腕を回して抱きしめた。
が、すぐに前をはだけられ、薄い胸に土方のくちびるを感じる。
あまりの嬉しさに息もできなくなりそうだった。
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