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第7話

店が終わり携帯を見るも、やはり既読はつかない。 予想通り、斉藤とホテル街へと足を踏み入れる事になってしまった。 「泊まる事、家族に言わないと」 思わせぶりな笑顔を浮かべると、斎藤は興奮したように鼻息を荒くしている。 弥艶は携帯を出し大友にメッセージ残した。 『ホテル バラの館』 それを送ると、携帯をしまい斎藤の腕に自分の腕を絡めた。 部屋に入ると時間を稼ごうとシャワーを浴びると言って、浴室に入った。浴室を出ると、斎藤は我慢しきれず弥艶をベットに押し倒した。 「ま、待って下さい!斎藤さん、シャワーは⁈」 「そ、そんなものいい!早く君を抱きたいんだ!」 (す、凄い力……!) 組み敷かれてしまい、弥艶は身動きが取れない。興奮した様子で斎藤は弥艶の胸に吸い付いた。 「‼︎」 (うぅ……気持ち悪い……) ベロベロと舐め上げられ、弥艶の全身にゾワッと鳥肌が立った。脳裏に大友の顔が浮かぶ。 「やっぱり無理!」 渾身の力を込めて、弥艶は斎藤を突き飛ばした。弥艶は着替えとバックを持ち、逃げようと出口に走った。 「待て!」 だが、腕を掴まれ引き戻され再びベットに組み敷かれてしまった。 「なんで逃げるんだ」 斎藤の顔は真っ青になり、ふるふると小刻みに震え、目は血走っていた。斎藤の両手が弥艶の首にかかった。 (やっぱりこいつが……) 「女装殺人、あ、あんたが……」 段々と意識が薄れる中で、せめてこいつが犯人である事だけは聞き届けようと思った。 「そうだ。やってる時、気持ち良さそうな顔から苦痛に歪む顔を見るのが堪らなく興奮するんだよ」 グググッと斎藤の指が弥艶の首に食い込んでいく。 (ああ……どうせ死ぬなら大友さんと一回ヤりたかったな……) 最後浮かんだ言葉がそれだった事に自分自身呆れた。だが、その考えで大友への気持ちを確信してしまった。 (く、苦しい……もう……ダメ……) そう思った瞬間、ドカッ!という大きな音が聞こえた。 「斉藤信男!殺人未遂で現行犯逮捕する!」 聞き覚えのあるその声に、弥艶は目を向けた。大友の姿が見えたかと思うと、後ろからドカドカと警察官たちが雪崩れ込んできた。 首元の手が緩み、斎藤は警察官たちに取り押さえられた。 弥艶は解放された首の違和感にゲホゲホと大きくむせた。 「大友……さん……」 「弥艶!」 その時始めて本当の名前を呼ばれた。 大友が慌てた様子で弥艶に駆け寄ると、弥艶を抱き起こした。 「大丈夫か!」 その顔は今にも泣きそうな顔をしていた。それが、少し子供っぽく見え、自然と笑みが零れた。 「来るの……遅い……」 「悪かった!」 ギュッとキツく抱きしめられた。 「弥艶……」 大友は泣いていた。ポタポタと弥艶の顔に大友の涙が落ちてくる。 「大友さん……」 「なんだ?」 グスグスと鼻をすすりながら、大友がこちらを見た。顔を引き寄せ、弥艶はキスを一つすると、 「今度……セックスしよ……?」 そう言うと弥艶は意識を手放した。

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