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第8話
次の日、大事を取って弥艶は一日入院した。
その日の午後、大友が関を連れ立って病室に現れた。
当然、大友に激怒された。
なぜあんな危ない事をしたのか問いただされ、弥艶は素直に白状した。
過去、斎藤に何度か指名を受け接客したこと。斎藤の手首の傷に見覚えがあり、その同じ傷跡がある男に襲われた事。そして見覚えのある傷跡がある斎藤が昨日店に現れ、捕まえるチャンスだと思い、危険だと承知で斎藤の誘いに乗ったのだと。
大友の方は、意識不明だった被疑者が目を覚まし、斎藤が容疑者として浮上し逮捕状が出た為、斎藤を追っていた。その最中、弥艶のメッセージに気付きホテルに向かうと、斉藤とホテルに入る弥艶を目撃し、慌てて応援を呼んだという。
関が言うには、捜査を放り出し弥艶の元に向かったのだと聞いた。
結果的には運良く一石二鳥となったが、もしそれが上司にバレていたら、大目玉を食らっていただろう。
大友と関は仕事に戻ると言い、病室を出て行った。
その後すぐ、大友からメッセージが届いた。
『明日の夜行く。やるぞ』
何を?と一瞬思うがする事は一つしかない。
そのメッセージの意味が分かると、弥艶は顔が熱くなるのを感じた。
次の日、退院した弥艶はタクシーでアパートに帰った。
(本当にやるのかな……)
女装して大友を待っているのは、ヤル気満々なような気がして気恥ずかしい気もした。結局、大友が来てから着替えようと思った。それでも、風呂場で大友を受け入れる準備をする自分は矛盾している事は分かっていた。
八時を回った頃、玄関のチャイムが鳴り玄関を開けると予想通り大友が立っていた。何も言わず大友は玄関を上がると、小さな箱を手渡してきた。
「ケーキ、買ってきた」
「どーも……」
意識し過ぎて、まともに大友の顔が見れない。
ケーキを受け取りテーブルに置いた。
大友に背中を向けた瞬間、背中を抱きしめられた。
顔だけ向けると、そのまま唇を塞がれた。唇を離し大友の顔を見ると欲情した雄の顔をしていた。弥艶の下半身がズクリと疼く。
「用意してくるんで、少し待ってて下さい」
「用意?なんの?」
大友は怪訝そうな顔をしている。
「化粧と着替えを……」
「女装すんのか?」
「え?だって、しないと無理でしょう?」
「無理って何が無理なんだよ」
「だって、このままじゃ反応しないんじゃ……」
「女装してないとヤレないなんて、いつ言った」
そう言って大友は硬くなった中心を弥艶の腰に押し当ててきた。
「おまえとのキスだけでこれだ」
「嘘……」
「女装してなくても、おまえ色気ダダ漏れだぞ?」
弥艶は大友の言葉に目を丸くする。
「自覚なしか……」
はぁーっと大友はわざとらしく大きく溜息をついた。
「俺はそのままの弥艶を抱きたいんだ」
その言葉を聞いた瞬間に、弥艶の目から涙がポロポロと溢れた。
「本当に……抱けるんですか?このままで……」
「寧ろこのままがいい」
堪らず弥艶は大友に抱きついていた。
「抱いて下さい、俺を……」
「好きだ弥艶」
「……っ、俺も……」
二人はもう一度唇を重ねると、そのままベットに雪崩れ込んだ。
大友は繋がりながら何度も弥艶の名を呼んだ。そして見た目とは裏腹に、優しい大友の愛撫に弥艶は溶けそうな感覚に陥った。今まで味わった事のない快感に弥艶は何度も達した。
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