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第6話

 二人がビジネスライクな態度で仕事の話題をしていると、スペンサー警部の部屋のドアが開いて、彼とサーシャが出てくる。 「チームミーティングするから、集まってくれ」  部屋の中央に置かれているホワイトボードの前に、全員が手近にある椅子を持ち寄り座る。 「チーフ、何か重大事件でも起きたんですか?」  パトリックがスペンサー警部に質問する。スペンサーは「重大、と言えば重大なんだろうが、ちょっとまだはっきり分からないところが多くてな。とりあえず、今のところ分かっている部分だけ説明する」と言って、手に持っていたファイルから、関係者の顔写真を取り出しボードに貼っていく。 「誰か、回転するエジプト像について知ってる者はいるか?」  スペンサーは振り返るとスタッフに尋ねる。 「近頃SNSで話題になってましたね。今朝のタブロイド新聞でも取り上げられてましたよ」  レイがすぐに反応して答える。 「さすがレイモンドくんだな。すでにチェック済みだったか」 「扇情的な見出しで取り上げられてましたから、嫌でも目につきますよ。『ファラオの呪いか? 回転するエジプト像の謎』」  スペンサー警部に褒められているレイを、一人だけ気に入らない人物が部屋にいた。サーシャだ。  彼女は挑戦的な態度でレイに向かってこう言った。 「ファラオの呪いって本当かしら? すごくミステリアスよね。ツタンカーメン王の呪いの話もあるし、意外と本当だったりして」 「ブルック巡査、本気で呪いなんて信用してるの?」  レイは受けて立とうじゃないか、と言いたげな顔で言い返す。  サーシャは一瞬いらっとした顔をしたが、リチャードが自分を見ている事に気付いて、慌てて表情を取り繕う。 「どうして? あんなに有名な話じゃない。ツタンカーメンの王墓を暴いたのがきっかけとなって、死人がたくさん出たのは実話よ? あのシャーロック・ホームズを書いたコナン・ドイルだって、お墓の中には何らかの致死性のカビのようなものが意図的に仕込まれていた、なんて説を唱えていたじゃない」

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