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第31話
監視カメラは部屋の入り口上部、天井付近に取り付けられており、展示室全体を俯瞰状態で撮影していた。
「学芸員のエリックの話によれば、まさか博物館に泥棒が入るなんて思いもせず、通常は監視カメラの映像チェックはまったくしていないそうです。最初の数時間は早送りします。何も変わった事は映ってないんで。僕が気になったのは午前三時頃の映像です」
レイはキーを叩いて映像を早送りすると、午前三時少し前で止める。
「ここから問題の映像になりますので、よく注意して見てて下さい」
相変わらず見にくい事この上ないが、午前三時を少し過ぎた辺りの映像で、一瞬画面の中で何かが光ったような気がした。
そのすぐ後の部分でレイは画面を一時停止する。
「見ました?」
「何かが発光したように見えた気がしたが…」
スペンサーが目を細めて画面を見つめる。
「外を走る車のヘッドライトの光が差し込んだんじゃないですか?」
サーシャが口を挟む。
確かに光った部分の隣には大きな窓があり、車の通り過ぎる様子がヘッドライトの明かりで分かる。博物館がある通りは二十四時間、常に交通量が多い場所だった。サーシャが言うように、ヘッドライトの明かりが差し込んで、ガラスの展示ケースに反射していてもおかしくなかった。
「確かに発光しているように見える部分は、ガラスの展示ケースの端の方だな。ガラスに光りが反射したと言ってもおかしくはなさそうだ」
スペンサーが同意する。
「もう一度見て下さい」
レイは再びパソコンのキーを叩いて、同じ映像を画面に映し出す。
「やはり何かが白く発光しているように見える。車のヘッドライトの明かりじゃないんじゃないか?」
リチャードがそう言うと、レイはすぐに同意する。
「僕もそう思うんだ。何度か再生して見たんだけど、ガラスの展示ケースの外側じゃなくて、内側が光ってるみたいに見えるんだ」
「でも、内側が光っていたとして、一体何が光ってたのかしら?」
黙って画像を見つめていたセーラが疑問を口にする。チームのメンバー全員が同じ事を考えていたらしく、セーラの言葉に頷く。
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