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1 事後報告は恋のはじまり!?②
「その呼び名はよせ」
声は毅然と響いた。
空港職員全員が整列し、平伏する。
「犯人を確保せよ!警察に引き渡す前に情報聴取を忘れるな」
「はっ」
警備員の制服に身を包んだ男が、床に倒れているマフィアの体を引っ張り上げる。
視界の端に映す……
サングラスを取り払った瞳の色は、冷徹
「私の大切な弟に危害を加えようとしたのだ。……この意味が分かるな?」
若頭の権藤が無言で頭を下げた。
ゾゾゾーッ
なんなのだ。
背筋に走った悪寒は……
「佑都……」
俺の体
佐伯に抱っこされたまま、顎を持ち上げられた。
指の先まで端整に均衡のとれた体は、まるで彫像だ。間近に迫る闇色の黒眼が、烏の羽のように瞳の中の俺を包む。
あなたの羽は羽ばたくために在るんじゃない。
俺を包容するために……
その距離3ミリで
吐息が唇の表層を撫でて囁いた。
「『佐伯』じゃないよ」
微笑んだ柔らかな吐息が頬を撫でる。
「私は……」
あなたは
「組長」
「その呼び名はよさないか」
クスリと笑った吐息に口づけられる。
「『社長』だよ」
天見会は……
「株式会社なんだ。どこをどう叩いても埃どころか塵一つ出ないよ。『日本国に愛と平和を』をモットーに、社会貢献する立派なカンパニーだ」
愛と平和を語る張本人が、たった今、拳銃をぶっ放したんだが。
(愛と平和って~)
天見株式会社、なんの会社なんだ?
……そういうのを『隠れ蓑』と言わないか?
「佑都」
鼓動が凍てつく。
頬を撫でた手は暖かいのに、体の芯がゾクゾクする。
背骨を走った。冷ややかな寒気はなんなのだろう。
「お口が過ぎるよ」
プルプルプルプル~
首を振って全否定!
俺、なにも言ってない。
(あなたが勝手に!)
俺の心を読んだんだァァ~
「いけないお口は……」
「喋ってない!」
「私のお口で……」
「だから喋ってない!」
「ディープに……」
ギャアァァァァー!!
(ディープ……っつった)
宣言した。
そんな事言うのは、どの口だァァーッ
「もちろん私の口だよ」
美しく弧を描いて、秀麗に吊り上がる。
「いけないお口は塞いでしまおう」
ブチュウゥゥゥゥ~~💋
生暖かくて、柔らかくて……ムギャア!
これ唇!
俺の口を塞ぐのは……ギャ、柔らかいニュルニュルした……舌だァァァ~
宣言通りのディープキス
俺のファーストキスは、組長………
「組長じゃないよ」
私は………
お前だけの………
「お兄様だよ」
ブッチュウゥゥゥゥ~~!!💋
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