5 / 35
1 事後報告は恋のはじまり!?⑤
……「そんな事、言わないでください」
ぎゅっ
温もりが包む。
強く、強く
離さないと言っている。
(ねぇ、どうして?)
いつも
どうして?
あなたの温もりは、俺の気持ちが分かるの?
「私がこうしたいんですよ」
背中越し。
薄いレンズの向こうの瞳が揺れる。
「触れたい。キスしたい。
あなたの口を塞いだら、次は私の名前を呼ばせたい。
私の名前以外、呼ばせたくない。
あなたを私だけのものにしたい。体の奥まで」
今すぐ、ここで犯したい。
「皆の前で組み敷いて、抱いて、犯して、淫らな声で鳴くあなたを見せつけて、私のものだと証明したい。
まだ足りない。
あなたの全身に痕をつけて、私にしか見えない所に痕をつけて、私の唇が触れていない場所はどこにもない体にしてしまいたい」
それでも足りない。
「乾く間もないくらい、白いいかがわしいミルクで、ヌチョヌチョ、ジュプジュプ淫猥な水音を奏でて、一晩中辱しめたい」
「佐伯ッ」
「あなたの前では、ひとりの雄です」
包む手にきゅっと……
力がこもる。
雄だから
「私とあなた以外の雄が、絶滅してしまえばいいのに……と思います」
流し見る闇色の双眸に囚われる。
熱で動けなくなる。
「これでも我慢しているんです」
不意に温もりは、握った手を撫でるように。
柔らかく包む。
「あなたに嫌われたくないので」
けれど、もう嫌われてもいいのかも知れない。
微かに、唇ににじませた呟きは誰に届く事なく消えていく。
「佑都様」
男は佐伯の顔で俺の名を呼んだ。
「今夜限りで、お兄様には会えなくなります」
ともだちにシェアしよう!