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第7話

 レイの叔父は警視総監だが、父親はMP(Member of Parliament/英国国会議員)だった。彼の家族は、数代遡れば爵位を持つような立派な家系だ。当然の事ながら、ロンドンの超一等地に所有する建物があってもおかしくはなかった。 「ローリーだって、ここから数ブロック離れたところに同じような建物持ってるよ。自分一人で住むには広すぎるから、って自分が使ってる以外のフロアは貸してるんだけど。家賃収入だって馬鹿にならないよね。ローリーってそういう面は本当実利主義っていうか、お金儲け上手いんだよ。僕は儲けには興味ないから、そういうのやらないけど」 「そうなんだ……レイ、本当に金持ちなんだな」 「リチャード、あんまり言わないでよ。たまたま僕はこういう家に生まれただけで、自分の力で富を得た訳じゃない。正直それが時々疎ましく感じることもあるぐらいなんだから」  レイは俯く。 「俺はレイのこと尊敬してるよ。だって自分の生まれに胡座をかいてるだけじゃない。ちゃんと自分の裁量で立派にビジネスをしてるじゃないか。それに加えてコンサルタントの仕事も兼業してて、すごいと思うよ。俺なんて一つの仕事でも手一杯なのに。……だから、決して自分を卑下するような真似だけはしないでくれよ」 「リチャード……」  リチャードは周囲を見て誰もいないのを再度確認してから、レイをぎゅっと抱き締めると彼の額に軽くキスする。 「そろそろ中に戻らないと、招待客たちがギャラリーオーナーを探して、騒ぎ出すんじゃないか?」 「うん……そうだね。リチャード、戻っても大丈夫? また絡まれるかもよ?」 「それも課外学習の一つだと思うさ。今度何かあったら、適当にあしらうから平気だよ。俺の事は気にしなくていいから」  二人一緒に戻ると目立つので、レイは先にギャラリー内へ戻り、時間差を作ってからリチャードもまた中へ戻る。  戻ってすぐに知った顔が近づいてきた。

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