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Ⅶ
蓮の両親と食事を済ませて、晴は誰に言われずとも片付けを率先して手伝う。彼の世話をする事が好きな性格がそうさせている。その間に蓮はリビングから離れて浴室に移動してシャワーを浴びていた。
小さい時は二人で入っていたお風呂も蓮が中学に上がった頃に精通を迎えた。その時期は晴に片思いをしていただけで恋心がある事をバレては行けないと急に距離を置いて拒んだ事がある。
小学生だった晴は蓮から嫌われたと思い込みワンワンと泣き出してしまった。本人は覚えているか分からないけれど、それ以来一緒にお風呂に入る事は無くなり付き合った今も、入ろうと誘われる事は無かった。
(早く卒業して一緒に住めるようにならないとな…。)
そうしたら、誰の目も気にする事なく二人で自由に家の中だけでも過ごす事が出来るだろう。と蓮は熱いシャワーを頭に掛けて考える。
その夜は、二人で当たり前に同じベッドに入ってお互いの欲を晒し求め合った。決して他人には見せない顔が、特定の一人には見せる。
二人の愛を育むことはどう足掻いてもこの二人にしか出来ないんだから。
晴は必ず聞く。
「蓮…。好き?」
「好きだよ。愛してる。」
「俺の…どこが?」
「沢山ある晴の好きな所がもし全部無くなって変わったとしても、晴が好きだと思わせてくれるとこ。」
蓮は決まってそう答える。
合言葉のように、二人の愛の言葉はリピートされる。分かっていても聞きたい。思っていても言わせたい。
(例え溶けてでも、僕は蓮と一つになりたい。)
晴はこっそりと寝ている蓮の耳元で願った。準備室で蓮に聞いた自分の答えをひっそりと。そして、彼の胸の中に顔を埋めて幸せな深い眠りにつく。
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