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【10】俺を差し置いてふざけるな
「あー…春日」
「何だ優紀まだ居たのか」
「何その言い方。俺が話しかけたんだからもっと喜ぼうぜ。」
「お前に話しかけられて喜ぶ馬鹿がこの世に存在するのか?」
なにそれひでぇ。
しかし、兄崎に向いた春日の視線を強引に戻したのはフレデリックの陽気な声。
「何してるの、早く行かないとサラが空腹すぎて死にそうだって。 オズ、ご飯食べに行こう」
「なんて事いうんですか!この白豚!」
「格好良くてスマートな俺の何処がお豚さんなんだ。生意気だこの貧乳。育乳して出なおしてきやがれ」
「貧乳を馬鹿にしないで下さい」
「何だよ丘すらもないくせに。骨骨してるくせに。君のような骨っ子に食いつきたいヤツなんて犬くらいなもんだ」
「ほぉ、では貴方僕が好きなんですか。生憎僕は貴方が嫌いです。骨っ子が好きな馬鹿犬はすっこんでてください。」
「俺だって君なんか嫌いだもんね!」
「貴方がそういう喋り方しても可愛くない。憎さ100倍です」
突っ込むところはそこじゃない。
「お前ら仲良いなぁ。で、なんだよ。優紀なんか言いかけてなかったか?」
春日が俺の方を向いている隙に更紗がフレデリックの腹に鉄拳を打ち込んだ。
何この子怖すぎる。
震え上がる兄崎に春日は小首を傾げる。
「何か俺に用事があるんじゃないのか」
「あぁ、うん。いや、大した用事じゃないんだけど」
もう既に予約済みの彼を誘うなんて断られるに決まってる。
そんな事兄崎のプラ イドが許さない。
しかし折角会えたのに、ここで引き下がるわけにはいかない。
「用が無いなら俺は行くぞ」
引き下がるわけには……。
「あ、うん」
「じゃぁな。おい、更紗、フレディは何処に行った」
「空腹すぎて床に倒れてしまいました」
更紗が笑顔で床に向かい指を差す。
何この子怖い。
「何てこった!本当にコイツは仕方ないな!」
春日と更紗がフレデリックの足を片方ずつ持ち、ズルズルと引き摺りながら 仲良く退室をする。 次々と会場を後にするメンバーたちは、生ぬるい目で兄崎を見ていくが本人はそれどころではない。
「俺は何をしてるんだ。」
兄崎は一人つぶやく。
何この展開。
春日の癖になんでモテモテなんだよ。
俺の立場はどうなる。
何で俺が振られないといけないんだ。
何この展開、何なのこの展開いいいい!!
きぃいいい、つとハンカチをかみしめ兄崎は納得できるはずもないこの展開に対し新たな計画を立てる。
納得できるか。クソッタレめ。
と、いう事で俺は春日の部屋に忍び込み帰ってきた所を狙うことにしたよ。
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