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第6話*エンディングドレス*①
ピロピロピロ・・
「うっせー」
ピッ
「誰?んあ、十夜かよ」
【お前なあ。誰が出るかわからないから丁寧に取れと言っているだろう!】
「どうせ俺にかけてくる奴なんか決まっているさ。それよりなんだよ、依頼だろ?」
【ああ、そうだ。あと一時間くらいで着く。あと会わせたい人がいるから三十分くらい
時間をもらうぞ。じゃああとでな】
プッ
「あいつ俺のYES・NO聞いてねえぞ?」
東(あずま)十夜は美鈴ちゃんと同じ、医大の同期で親の仕事を継ぎ葬儀屋をしている。
美鈴ちゃんからの依頼は少なく、仕事のほとんどは十夜と組んでやっている。
アオイくんの家は病院だ。いつも黒ネクタイが来るのは見た目が悪い。
なので十夜には少し明るめのスーツで来て、途中で着替えろと言ってある。
「来たぞツクモ」
「十夜、チャイムかノックしろよ」
「カギをかけていないなら同じだ。さあお入りください。汚いですが」
「一言多いし、汚くねーし」
入ってきたのは女性二人。ずいぶん身長差がある。
「こちらエンディングドレスデザイナーの山岸ご兄妹だ」
「エンディングドレス?」
「今回の依頼は二十一歳女性。急性骨髄性白血病だ。顔に血斑が出ているがそれ以外は
特にないからお前だったらそんなに時間はかからないだろう」
「そして今回の依頼がこれだ」
「山岸サリーと申します。よろしく」
「はあ、播磨です」
長身の女性が差し出した箱を開けると、
「こ・・れは」
「ご両親のご希望です。本当ならこの姿で送り出したかったと」
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