9 / 65

第9話*ともしび*

「あーつかれた」  頭をかきワックスで固めた髪を崩しながらツクモは帰路に着く。 「あれ?電気がついている。アキラたちは今日十夜と仕事なの知っているし」 ガチャ 「あ、おかえりなさい。ツクモさん」 「アオイくん・・?どうしたの?」 「あ、今日お仕事で遅くなるから、できたら家の留守番をしてほしいって泉守先生が」 「そっか、遅くまで待たせてゴメンね。ありがとう」  ツクモは軽くハグして背中をポンポンと叩く。 『うわー抱きしめてえ。てか美鈴ちゃんコロス。俺の鼻血でシネ』 「せっかくだから何か飲んでいきな」  ツクモは手早く支度をし、アオイに甘めのカフェオレを渡す。 「いただきます。あの・・」 「ん?」 「ツクモさんのお仕事って何ですか?」  コーヒーを口にしながらツクモが 「お父さんや美鈴ちゃんから聞いてない?」 「あ、はい。泉守先生からはとても忙しい仕事だって。工事の時に医療器具が運ばれていた のは見たんですけど、お医者さんではないって」 「うーん。二人からまだちゃんと聞いていないのなら、ヒミツ」 「そうですか・・」 「チューしてくれたら教えてあげるけど」 「えっええっ、何言ってるんですか?俺男ですよ。からかわないでください」  顔を赤くしながらアオイが首を振る。 「あはははは」 『顔赤くしてかわいー。つか、ガチで本気なんですけど?』  ツクモの満たされた少しの時間・・

ともだちにシェアしよう!