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第11話*何もしないからあたためて*
マスク、グローブを乱暴にダストボックスに投げ入れ防水エプロンを無造作に置く。
処置室から出たツクモはソファに横たわる。
「十夜が来るにはまだ時間があるな」
空はまだ高い。仮眠をとるにも体が受け付けない。
「寒い・・」
ツクモが体を縮こませる。
ピンポーン
『誰だ?』
「こんにちは。ツクモさんいらっしゃいますか?」
「アオイくん?」
『チッ。よりにもよってこのタイミングで』
重い体で扉を開ける。
「こんにちはアオイくん。どうしたの?」
「あ、先日のお皿を取りに来ようと思って。キッチンの方ですか?」
「ああ、そうかご苦労様」
そういって離れるように後ろに下がったが無防備なアオイの腕をツクモが掴み、
思いきり抱きしめる。
「ツ、ツクモさん?」
『なっ何?ツ、ツクモさん細いのにすごい力で苦しいっ』
カリッ。アオイの耳にツクモの歯が当たる。
「ふああっ」
アオイの声でツクモが我にかえる。
「あっ、ごめん」
さっとツクモがアオイの体から離れる。
「ごめんね。さっき仕事が終わったばっかりなんだけど、そこは低温管理の部屋で
凄く寒いんだ。ちょっとアオイくんで暖を取っちゃった。ごめんね?驚いたでしょ」
「あっそうなんですか、ちょうどお仕事が終わったところでよかったです。じ、じゃあ
俺はこれで・・」
「うん。気をつけてね」
慌てて家を出るアオイを見て、
「あー警戒させたよなあ。失敗したな・・」
ツクモは顔を押さえソファに深く沈み込む・・。
「ツクモさんに抱きしめられた・・。思いっきりすごい力で・・なんか体が熱い・・」
アオイは顔をまっ赤に染め自宅に向かう。
「嫌われたかな。やっぱ」
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