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第19話*炎*
「うわああっ」
アオイは思いきり腕をつかまれ、ツクモに抱きしめられた。
『いたたたた。苦しい』
苦しみに耐えていたら、あごを押さえられ唇を奪われた。
『えっ』
自分の唇とツクモの唇が触れているのに驚くヒマもなくツクモが襲ってきた。
アオイの唇のわずかなすき間から入り込みアオイの舌を絡めとる。
「ふううっ」
『ツ、ツクモさん。く、苦しい・・息どうやってすればいいの?
そ、そんなにされたら舌がとれちゃうよ。あ・・熱い・・ツクモさんの舌・・』
「んっっ・・ふっ・・うっ・・」
ツクモの手がアオイのズボンに降りてきて服の上から形をなぞる。
「ひああっ!」
驚いたアオイがツクモを突き飛ばす。
頬は紅潮していたが、涙はあふれそうだった。ツクモの表情が固まる。
「あ・・。だから言っただろう!今すぐ帰れ。もう・・この家には近づくな・・」
こぼれる涙をぬぐうことなくアオイは走り出していた。
「あー・・おわったな・・」
【あ、泉守か。そっちで何かあったか?】
「どうかしたの十夜君」
【ツクモがおかしい】
「仕事しないの?」
【そうじゃない。仕事はきちんとやっている。だが何か様子がおかしい。目に光がない。
《あの時》みたいだ。嫌な感じがする】
「・・わかったわ。ちょっと心当たりがある」
プツッ
「アオイくん・・」
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