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第22話*やわらかいぬくもり*

「低温の処置室にもう話しかけてくれない恋人と何時間もいて心と体が冷えたのね。 処置のあとはたまに不安定になるわ」 「あ、よく寒がっているのは知っています」 「ふふ。そこはアオイくんに見せていたのね」 「だから昨日十夜君から連絡をもらった時、壊れそうって思ってきたの」 「俺の所に?」 「だって今のツクモを救えるのはアオイくんだけなんだもの。戸惑っているの。 アオイくんが好きなんだけどどう大切にしていいかわからなくなってしまっているよ。 ツクモの方がずっと大人なのにね。今はアオイくんより子供のようにオロオロしている」 「ね、言ったでしょ?ツクモには幸せになって欲しいって」 美鈴がホットドリンクを口にする。 「でも前に言ったよね。山切先生は裏切れないって。だから選ぶのはアオイくん。それだけ」 「私はツクモもアオイくんも二人とも大切だから」 アオイはガバッと起きると着替えもせずに部屋を飛び出した。 「ふっ。うふふっ」 美鈴は少し満足げにドリンクに口をつける。 ガタン!バタバタバタ 「うるせーよ美鈴。今日は来るな!」 ソファに寝込んだままツクモが怒鳴る。 入ってきたのは大きく肩で呼吸をしているアオイだった。 「ア・オイくん・・」 『ツクモさんすごいクマ』 アオイは手を伸ばし思いきりツクモの右耳を持ち上げる。 「いたたたたっ」 「謝ってください」 アオイが強い口調で言う。 「え?」 「俺キスするの初めてだったんです」 「だから謝ってください」 「あ、ごめんね・・初めては好きな人としたいよね」 肩を落としてツクモが謝る。 「そういうことじゃあないです」 「初めてだったからもっと優しくしてほしかったんです」 右耳から手を放す。 「え・・?」 アオイはツクモの頬に手をあて軽く唇にふれる。 「俺はこれくらいしか知らないから、あとはツクモさんが教えてくれないと・・」 ツクモはゆっくりアオイを引き寄せ、ゆっくりアオイの唇の奥の舌をたぐり寄せた。 ちゅ・・くちゅ・・ 『これがツクモさんとのキス・・』 ツクモはいつまでもアオイの唇を離そうとはしなかった。 アオイはツクモに身を任せた。

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