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第23話*ツクモを包むもの*
ちゅっ・・。
やっとツクモの唇が離れた。アオイは少し肩で息をしている。
「アオイくん・・。来てくれてありがとう」
軽く唇を合わせた後、ツクモが笑顔を見せる。
『あ、笑ってくれた。やっぱり笑顔のツクモさんかっこいい』
そっとアオイはツクモに抱きかかえられて、ソファに座り抱きしめられた。
『あったかい。やっぱりツクモさんはかっこいいし好きだなあ。キ、キスも気持ちよかった』
『ん?そうすると俺って男の人が好きなの?年上だから大人の魅力なのかなあ。
でもツクモさんにはいつもドキドキするし・・』
「ねえアオイくん」
「はっはい!」
「今日平日だよね?なんでこの時間にパジャマで自宅にいたの?」
カーッとアオイは顔が赤くなり、
「こ、この前ツクモさん怒らせちゃって、どうしたらいいかわからなくて学校行かれなくて、
閉じこもっていたら泉守先生がお見舞いに来てくれて、話をしていたら、どうしてもツクモさんに会いたくなって・・」
「ああ、ごちゃごちゃすみません!」
混乱してきた自分自身にアオイは謝った。
「そっかー。美鈴ちゃんかー。それで俺に会いに来てくれたんだ。学校休んでまで。
ごめんね。でもちょっとうれしい」
やさしくアオイの髪に触りながらツクモが抱きしめる。アオイもツクモの首に手を回す。
「美鈴ちゃん。なにか言ってた?」
仕事の事、恋人の事、別れの事、たくさん聞いた。でもツクモさんに話せることなんて・・
「ツクモさんのお仕事を聞きました・・」
「・・そっか」
あ、やだその顔。
「俺じゃダメですか?」
「え?」
「俺まだ子どもだし、ツクモさんを支えてあげることなんて出来ない。でもお仕事で疲れた
ツクモさんを温める事はできるかもって思うんです。俺じゃダメですか?」
「俺、男の人が好きなのかなんて全然わからないし、違う気もするんだけど、でもツクモさんはいつも一緒にいたくて、ツクモさんが恋人作ったりするのが嫌で・・あ、なんか訳わからなくなってごめんなさい・・」
ツクモはアオイの頬を触りながら、
「アオイくんは俺のことが好き?」
アオイはうなづく。
「俺を温めてくれる?」
「たくさん」
「お帰りのキスをしてくれる?」
「えっ、は、はい」
ツクモは少し笑って、
「アオイくんがそばにいてくれたら温かいだろうなあ・・」
「います。いつもツクモさんのそばにいる。いつも温める」
ツクモはアオイにキスをして、
「俺を守ってくれる?」
「俺ができる事なら全部」
「うん・・温めて・・」
『いいかな?もう一回・・』
ツクモは心の誰かに問いかけた。
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