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第31話*初仕事*①

「あー」 【いつも通りだなツクモ。あと三十分くらいだ。長谷川さんにも連絡を入れておいた】 「長谷川―?あーあのヒヨコか」 十夜の方が少し先についた。ご遺体の搬入をする。ご遺体の確認。棺を開けて・・ 「十夜、これ何?」 検案書のコピーを見ながらツクモが問い詰める。 「それはだな・・」 「どーせあのヒヨコの為にみすずちゃんが手を回したんでしょ?くだらねー」 「そう言うな。これからは彼女たちの存在が知られていかなければ。実績を積ませていく ことも当然必要になって来る」 「で、俺はサポートにまわりなさいってか?」 「そんなことは言っていない。それにツクモには頼みがある」 そう言って十夜が紙袋を渡し、ツクモが中を見る。 「ほー。りょうかい」 ピンポーン 「失礼します。遅くなりました、長谷川です」 息を切らしながらリビングに駆け込んできた。 「や、名前はいいからさ。十分で支度して」 『くっ相変わらず、無愛想なのねっ』 長谷川はツクモの横の十夜に気づき、 「あ、初めまして東さん。長谷川と申します。いろいろと・・」 「あと、はっぷーん」 「ツクモが優先だ。行ってきてください」 「は、はい」 長谷川は急いで処置室に向かう。 「はーい。じゃあ、かくにーん」 馬鹿にされているような口調にいら立ちを感じながら、長谷川が書類を読み上げる。 「七十代、女性、死因は心不全。TD-1のため顔のメイクのみ。ご遺族からの着衣預かり」 「あい。ヒヨコさんの為に皆さんわざわざこんなきれいなご遺体をまわしてくれました。 TD-1なんて久しぶり~。切開ないから納棺師でできる範囲だし、一時間でおつり来るでしょ?」

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