33 / 65
第33話*熱さにのぼせる*
「はーい。今日はTD-2なので薬液使いまーす。なので小切開がありまーす。
お気をつけて」
検案書片手にツクモが声高に話す。
『くっ。なんでそう、気に障るいい方なのよっ』
友美は眉間に皺を入れつつ手を動かす。
あの日からも友美はツクモの処置室へ通い続けた。
「気をつけてねー。まさかと思うけど血管間違えないでねー」
「頸動脈も頸静脈も薬液も血液排出も間違えません!」
「はーい。よくできましたー」
『くっ!』
ただツクモの作業は相変わらず早く、友美が薬液の配合をしている間に
洗浄、顔そり、体の硬直へのマッサージを流れるように行い、友美は学校では比べ物にならないくらいスムーズに血管に管を挿入することが出来た。
『そうなのよ。知識も技術もけた違いなのよ。悔しいけど播磨さん天才なのよ。
同期がうらやましがるのわかった。だから私はここで盗めるものは盗んでいく!』
「ほーい。お疲れー。器具の消毒抜かりなくしておいて」
「・・わかりました」
ツクモはダストボックスにマスクやグローブを投げ捨てる。
「あー疲れた。めんどくせえ」
ツクモは熱いコーヒーでも飲もうかとキッチンに向かう。すると裏口から人の気配がしてきた。
「あ、ツクモさん。こんにちは」
笑顔で入ってきたアオイにツクモの表情も柔らかくなる。
「こんにちは。アオイくん。あ、ねえ、アオイくん。俺今仕事が終わったばっかりで、
寒いからコーヒー飲もうと思っていたんだけど・・」
そういってツクモは自分の唇に指をあてる。
アオイは見る見る赤くなり、ツクモの唇に自分の唇をそっと重ねた。
「かわいいね。アオイくん」
「・・かわいいだなんて言わないでください」
そういうとツクモはアオイの額にキスをする。アオイは少し照れて目を閉じる。
するとツクモはアオイの口の中に侵入して舌を探して絡めとる。
「んっ・・ふうっ・・」
アオイはツクモの腕に絡みつく。
『熱い・・やっぱり溶けそう・・』
アオイの体が熱を持ち始めた時・・
ともだちにシェアしよう!