37 / 65

第37話*寒いと熱い*

おそるおそるアオイがソファに近づく。 「あ、あのお仕事終わったんですか?」 「んー」 「た、大変だったんですよね?今日は失礼します・・」 「アオイくんさあ、忘れたの?俺キツイ仕事のあと寒いんだけど」 『あ・・』 少しずつアオイが近づくと、ガッと手首をつかまれソファに倒れこむ。 「うわっ」 手首に強い力が入っているのを感じ、アオイはツクモの胸に頬をうずめ、 「ツクモさんお疲れ様です」 「お疲れ様のキスは?」 『うっ』 胸の鼓動を押さえながらアオイはツクモとかすかに唇を合わせる。 『ふふっ。照れてる照れてる。でも向こうからしてくれるようにもなったな』 「ねえアオイくん」 「はい」 「お風呂入ろっか」 「えっ?」 「体の冷えたおじさんの背中を流してくださいよー」 『えっあれ?お背中って・・お風呂に一緒に入ること・・だよね』 「だめ?」 「・・ツクモさんズルいです」 勝ったようにツクモが笑顔を見せる。 「俺のこと温めて。約束だよね」 アオイの額にキスをする。 「お、お湯入れてきます」  飛び出すようにアオイはバスルームに向かっていく。 「あっつーい!」 「あーアオイくん。いつも熱いのに入っているから水で薄めてーって言い忘れたな。俺」 確かにお湯は熱かったが、おそらくアオイの体の方が熱かっただろう。

ともだちにシェアしよう!