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第37話*寒いと熱い*
おそるおそるアオイがソファに近づく。
「あ、あのお仕事終わったんですか?」
「んー」
「た、大変だったんですよね?今日は失礼します・・」
「アオイくんさあ、忘れたの?俺キツイ仕事のあと寒いんだけど」
『あ・・』
少しずつアオイが近づくと、ガッと手首をつかまれソファに倒れこむ。
「うわっ」
手首に強い力が入っているのを感じ、アオイはツクモの胸に頬をうずめ、
「ツクモさんお疲れ様です」
「お疲れ様のキスは?」
『うっ』
胸の鼓動を押さえながらアオイはツクモとかすかに唇を合わせる。
『ふふっ。照れてる照れてる。でも向こうからしてくれるようにもなったな』
「ねえアオイくん」
「はい」
「お風呂入ろっか」
「えっ?」
「体の冷えたおじさんの背中を流してくださいよー」
『えっあれ?お背中って・・お風呂に一緒に入ること・・だよね』
「だめ?」
「・・ツクモさんズルいです」
勝ったようにツクモが笑顔を見せる。
「俺のこと温めて。約束だよね」
アオイの額にキスをする。
「お、お湯入れてきます」
飛び出すようにアオイはバスルームに向かっていく。
「あっつーい!」
「あーアオイくん。いつも熱いのに入っているから水で薄めてーって言い忘れたな。俺」
確かにお湯は熱かったが、おそらくアオイの体の方が熱かっただろう。
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