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第38話*カポーン*(定番効果音)
「あー疲れた後の風呂は温かいよねー。アオイくん」
「は、はい」
二人でバスタブに入りながらアオイは、
『本当に二人でお風呂に入っている・・。言われた通りだけど複雑な気もするような・・』
「ねー、アオイくん背中洗ってー」
「あ、はーい」
ボディスポンジを使ってアオイはツクモの背中を洗う。
『俺より広い背中・・』
「ツ、ツクモさんて筋肉質なんですね?」
「あーこれ?いつも運んでいるのは軽くないし、作業も時間かかるしね。
職業病みたいなものじゃない?十夜も太っていないし」
「あ、そういえばそうですね」
「アオイくんは筋肉質じゃないの?」
「え、俺なんか全然ですよ」
「どれ?」
いきなり振り向かれて腹回りをなでられる。
「うひゃあ」
「あはは。びっくりしてる」
「止めてくださいよ、ふざけるの!」
「はは。何か楽しいな。俺家族居ないからさあ、おじいちゃん達がいて、立派なお父さんがいて、素直にまっすぐ育っているアオイくんが大好きだよ。まさか一緒に風呂で笑っているとはね」
『・・ツクモさん恋人が亡くなってから、何年も笑っていなかったのかな?』
「大丈夫ですよ。これからはいつでもお背中お流しします」
「うーん。いい孫を持ったのう」
「あはは」
「じゃあ、今度は俺がアオイくんを洗ってあげるよ」
「え、僕は別に大丈夫ですけど・・」
「いいからいいから、お兄さんにまかせなさい」
「お兄さんだったりおじいちゃんになったり忙しいですね」
「ははっ。あ、ねえアオイくん。ボディソープ取って?」
「あ、はいどうぞ」
俺はツクモさんの横にボディソープを置いた。
鏡の後ろで俺の影に隠れているツクモさんにドキドキしてしまう。
本当は恥ずかしかったけど、ツクモさんと一緒のお風呂なんてちょっと楽しい。
「・・え・あっ・ああっ・・はああ・・あああっ!」
『えっ?なに?なに?やだっ』
体がいきなり電流が走ったようにしびれる。
耳元でツクモが囁くように声を吹きかける。
「言ったよね。俺。アオイくんの事大好きだって・・」
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