47 / 65
第47話*二人目の適合者*
「ツクモさんも大変ですね。いつお仕事が入るかわからないから、常に気をつけていないといけないなんて」
カフェオレを飲みながらアオイが訊ねる。
「まあね。でもこれはこの仕事を選んだ時からわかりきっていたことだし、みすずちゃんや十夜も同じことだからね」
ツクモがコーヒーを飲みながらアオイの頭をポンポンとなでる。
ふふっ。と穏やかな時間が流れていく・・。
バッターン!
チャイムも鳴らさず大きくドアが開き仁王立ちのみすずが現れた。
「ひいっ」
ツクモは思わずみすずの足元を見る。
『あ、低めのパンプスだ』
「何を思っているのかわからないけど、今日は安全靴なのって言ったらどうなのかしら?」『やべー。マジに見透かされている』
「ねー、何しに来たのさ。みすずちゃん・・」
『俺、邪魔かな・・』
アオイが席を立つ。
「ああ大丈夫よアオイくん。すぐに済むわ」
「でさあ・・」
「呼び出すと逃げ出すと思って押しかけたのよ!」
みすずがツクモの言葉をさえぎる。
「さ、入ってちょうだい」
足取り小さくおずおずと一人の女性が入ってきた。
「田宮羊子です。これからよろしくお願いします」
彼女は深々と頭を下げた。ツクモはそんな彼女を指さしてみすずを見る。
「ツクモ、指を差さない。新しい研修生よ、もちろんエンバーマーです」
「見るからにトロそう・・ひつじ・・?」
「羊子さん!セクハラよツクモ」
「じゃあ十夜君にも連絡してあるからよろしくね」
バタン!
みすずはまた乱暴にドアを閉めて出ていった。
「ねえアオイくん。このドア補強しておいた方がいいかなあ?」
「僕の口からは・・」
ともだちにシェアしよう!