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第50話*ツクモのすべきこと*

ピンポーン 珍しくアオイが玄関から入ってきた。 「あれ、珍しいね?どうしたの」  しかもアオイは見るからに学校帰りだ。 「ツクモさん、お願いがあるんですけど」 「どうしたのアオイくん。改まっちゃって」 「俺、来年受験なんですけど、英語が少し弱くて時間があるときにツクモさんに見てもらえたらって。ツクモさん英語上手いって泉守先生も言っていたし・・」 ツキン・・ 確かにツクモは資格を取るためにアメリカに行っているので、いまでもネイティブ並みに会話ができる。しかし同時に英語はツクモにあの時の過去を思い出させる。 ツクモの顔が曇る。 「すいません。お忙しいですよね?」  不安げにアオイがツクモの顔を覗く。 『ああ。俺はこの子と一緒にいると決めたんだ。俺はこの子のものだから。俺の最愛の子』 「いいよ。空いている時間においで」  笑顔でツクモがアオイの額にキスをする。 「ありがとうございます」  満面の笑みでアオイが答えた。 ピンポーンピンポーン! いきなりテレビのニュース速報が入った。 「え?何、火事?」  一瞬でツクモの顔が険しくなる。 アオイにキスをして、 「アオイくん、ちょっと出かけてくるね」  アオイはふり返りもう一度テレビを見た。 『火事?爆発?建物が密集していて広がりすぎてわからない・・』  ツクモはスマホに大声で話しかけていた。 【みすずちゃんは?アキラと一緒に病院組か。俺ももう行く。ひつじに二十分で支度して三十分以内に現場へ行かせろ。あとあの天狗女にも。ああ、じゃあ】 ツクモは通話を着るとまた画面をタップする。 【あ、十夜。棺桶屋と連絡つくだろう?呼べ。ウチに未成年がいるからそばについていて欲しい。ああ、もう行ってくる。じゃあな】 ツクモは通話をしながら手を動かし、荷物をまとめていた。 「アオイくん。ちょっとだけ待っていてね」  アオイに笑顔を見せてツクモは家を出ていった。

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