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第53話*温もりを求めて*

アオイはツクモに抱きつき放そうとしなかった。ツクモはアオイを抱きしめ天井を見つめる。 「アオイくん」 「はっはい!」 「俺、汚れているからシャワー行ってくるわ。アオイくんは温かいものでも飲んでいて」 「あ、わかりました」 『温かいモノを飲めって帰れってことかなあ・・』 アオイは不安と戦いながらソファに座ってツクモを待っていた。 「ふう・・」 ツクモがバスルームから出てきた。アオイの体に力が入る。アオイはちらりとツクモに 目をやる。 『やっぱりツクモさんは細い体なのにがっしりしているなあ』 「アオイくん・・」 ツクモはアオイに唇を合わせた。そのまま軽く合わせた唇を『好きだよ』と動かした。 「ねえアオイくん。さっきの言葉の意味はわかっているのかな?」 「俺はツクモさんに温めて欲しい・・いまはそれしかいらない」 少し涙目でアオイが想いの言葉を吐き出す。 ツクモはアオイの体を抱きしめて言った。 「泣いても、嫌がっても、絶対俺やめないけど?」 「俺は温めてもらいに来たんです。絶対ツクモさんの手を離さない」 ツクモはアオイの額にキスをして 「ベッドルームは二階だけど?」 アオイは静かに立ってツクモの手を取り、二階の階段に向かっていく。 ツクモはアオイの肩に手を寄せ、静かに階段を上っていった。

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