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第54話*シルバーのリング*

『ん・・?まぶし・・』  シーツに丸くなっているアオイが目を覚ます。ツクモのベッドルームにはカーテンが無い。 『あの夜』からツクモは暗い部屋で眠ることが出来なくなっていた。だから薄いレースカーテンが風になびいているだけだ。 「んあ?ここに入れているはずなんだけどなあ?お、一個」  ツクモは机の引き出しをガチャガチャと漁って何かを探しているようだった。 「ツク・・モ・・さん?」  ささやくようにアオイが声をかける。その小さな声にすぐにツクモは反応してベッドの アオイに寄り添った。 「おはようアオイくん」  アオイの額にツクモは愛おしそうにキスをする。 「ツクモさんもウソつくんですね」  アオイが少しいたずらっぽく笑う。 「え?ウソ?俺、なんかアオイくんにウソついた?」 「二階に上がった時、さっきのはウソで絶対優しくするって・・」 少しシーツに入り込み丸くなったアオイが、 「あの・・気持ちよかったです。でもちょっと痛かった・・」 「あ・・」 ツクモは赤くなり、 「や、それはね、えっと、アオイくん初めてだったし、無茶はしてな・・でもかわいくて・・」  しどろもどろになっているツクモを見てクスッとアオイは笑い、 「ツクモさん。かわいい」 「大人をからかわないの」 「ツクモさん。俺のこと大事にしてくれますか?」 「もちろん。だってアオイくんが俺のことを大事にしてくれるんでしょう?」  幸せそうな笑顔のアオイ。 「だからコレ、アオイくんにあげる。好きにして」  ツクモがアオイの手に何かを握らせる。アオイがそっと手を開くと二個のリングがあった。 思わずガバッとアオイは飛び起き、 「いっ、いたたた」 「あはは。ゆっくり体を動かして」 『そうじゃなくて、このリングもしかして・・』 「アオイくん学校行けそう?送ろうか」 「あ、大丈夫です・・」 『これ以上リングの事は聞くなっていう事?』アオイはリングを握りしめる。

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