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第55話*ツクモの幸せ・みすずの心*
『これやっぱり俺が持っていたらダメなんじゃないかなあ・・』
学校からの帰り道アオイは少し寄り道をして公園のベンチに座った。
『きっと恋人さんより俺を選んでくれたんだろうけど、これはツクモさんが大事にしなくちゃいけない気がする』
リングを握りしめたままアオイは考え込む。
「あーら。かわいこちゃん寄り道?」
頭の上から聞こえた声に視線を向けると、そこにはホットドリンクを片手にみすずがいた。
「泉守先生・・」
「お隣よろしい?」
みすずはアオイの答えを聞くことなく隣に座った。
「あ、あの。この前は大変だったみたいでご苦労様でした」
「あー、あれね。もう化粧が落ちて大変だったのよー」
わざとらしく肩をすくめるみすず。
「あ・あの・・泉守先生。これ・・」
アオイは手に握りしめていたものをみすずに見せた。
「それ・・」
みすずは息をのむ。
「ツクモさんからもらいました。好きにしていいって。でもこれツクモさんが持っているべきだと思います」
「ツクモがアオイくんに渡したの?」
小さくアオイがうなずく。
「そう・・そのリングを手放したの・・」
「これ俺が持っていたらいけないと思うんです。きっとツクモさんの人生の一部なんじゃないかって・・」
「・・アオイくんあなたの思っていることは正しいと思うわ。ツクモは受け入れなきゃダメ。捨ててはダメ・・」
アオイは黙って手の中のリングを握りしめる・・。
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