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第30話
今、康太は何と言っていた? 自身の行動をまるで他人のもののようになぞり、ここに来い、と啓に言ったのか。
「お母ちゃんのお節介はここまでっす。先輩、ユウのこと頼みます。もちろん、先輩がイヤじゃなかったらだけど」
「っ、イヤじゃないよ。イヤじゃない、ありがとう、大野くん」
「へへ、じゃあ俺行きます! ユウと鉢合わせしたくないし!」
それじゃあ! と手を上げて、康太は軽やかに階段を下りてゆく。それを立ち上がり見送って、蒼生はまた階段に腰を下ろした。
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