30 / 44

第30話

 今、康太は何と言っていた? 自身の行動をまるで他人のもののようになぞり、ここに来い、と啓に言ったのか。 「お母ちゃんのお節介はここまでっす。先輩、ユウのこと頼みます。もちろん、先輩がイヤじゃなかったらだけど」 「っ、イヤじゃないよ。イヤじゃない、ありがとう、大野くん」 「へへ、じゃあ俺行きます! ユウと鉢合わせしたくないし!」  それじゃあ! と手を上げて、康太は軽やかに階段を下りてゆく。それを立ち上がり見送って、蒼生はまた階段に腰を下ろした。

ともだちにシェアしよう!