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第39話

「今日こうして話せたのも、今までも全部、だよ。僕も……僕も、啓くんが好き」 「っ、蒼生先輩」  そう思えば蒼生も自身を飛び越えて、自然とそう伝えることが出来た。それでも照れくささに頬を隠すように手を当てると、冷たい空気に逆らうように火照っている。想いの丈が表れているようで、潤んだ視界の先で泣きそうに笑う啓を捉えながら、啓の頬も同じなのかもしれない、と蒼生は思った。 「ふふ、恥ずかしい、ね。だけど……言えてよかった。啓くんのおかげだよ」 「う~、先輩っ」  手に触れ合って、微笑みで気恥ずかしさを紛らわす。そうして零れる笑みすらどこかくすぐったくて、あぁ、幸せだ……そう思ったら。またどうしようもなく泣けてしまうのを蒼生はしばらく止められそうになかった。

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