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三歳の時に出会った聖と再会したのはこの春。 喜々(きき)学園の一年生として入学してきたオレは、偶然にも同じ部活で会うことになった。 「ま、待って。待て、きょ…っ、ふぅ…ふ……!!」 吸血鬼と人間は時間の流れが違う。命の時間も違う。同じように歳を取り、老けてはいくが、ほとんどの吸血鬼は青年期の状態や肌のまま老いることとなる。 「聖、落ち着いて。そうゆっくり、深呼吸。すーはーして」 「ふっ、ふぅ…ひ、はー……はー……」 聖の熱い息が肩にかかってくる。大きな体を回せるほど持て余した腕は床に下ろすしかなかった。 (オレしか抱き締めることができないのにな) 高身長と足と腕の長さでも他の人間に劣らない。 しかし、愛しい人の体を包み込むことは出来ない。 肩の上下が収まってくると彼は小さな声で、 「京介、触って……くれ」 「うん。背中、触るよ?」 「……!?待て、背中は……っあぁあ……♡♡♡!!!」 つー。スポブラは背中が網目状になっていた。背筋にわずか指を滑らさせただけで、甘い声が部屋に響き、聖の熱い体が細く震える。 人間は成長する。 幼い頃は小さくて可愛かった聖は学年でも一二を争うほど身長は伸び、努力のかいあって逞しい体を手に入れていた。人望も厚く、勉学も優秀のようで二年で部長を務めている。 ただ、十六歳のオレが彼に再会した時に印象的だったのは、肩に置こうとした手を跳ね除けられたことだった。 「聖は……」 「あ、っ……♡♡」 「全身が性感帯なんだね」 耳元でゆっくりと低く囁き、腰にまで手を撫でれば、 「お"っ……♡♡!?……っ、♡♡!!」 弾力で厚みのあるお尻が上下に揺れる。その度にスカートはふわふわと浮き、コウモリの羽も羽ばたく。 「聖。そんなに大きな桃尻を揺らしちゃ、下の階の人に聞こえて迷惑になっちゃうよ?」 「い"ッ!?い、嫌だ……っ!!ご、ごめんなさ…っ……僕、悪い子でごめんなさい……っ」 「はは、だいじょーぶ。ここは一階だから。ごめん、いじめちゃって」 代わりに頭を撫でてあげると聖は怒らず、またオレに体を委ねた。呼吸も落ち着き、吸い付くように肩に押し付けた唇が動いたのは数分もかからなかった。 「……京介」 「なぁ〜に?」 「まだ、やめない……で、くれる……か?」 ゆっくり起き上がった聖の顔は林檎だった。耳の赤さは小麦色に映えており、広く膨らみのある胸に拳を置き、無意識なのか股をモゾモゾとさせている。本人は気付いていないが、スカートの中央がふっくらとしていた。 据え膳。現代文で習ったばかりの言葉が脳内を過ぎった。音になってないあーとかうーの口を何度かしてから覚悟を決めた顔でこちらを見る。 「俺、も……京介に触れられ、たい……から、たくさん練習……したら、エッチな声も出ないはず……だ、から……っ。お願いします……っ」 目をぎゅっと瞑って、オレの左手に自分の両手を重ねて置いて。 チョーカーはネックレスらしいが、今のオレには主人の淫魔につけられた首輪にしか見えない。 (ああ。分かってないんだよな〜) 自分の苦手なことである『他人に触れられること』がどんなに大変でも、それを克服しようとする姿も尊敬するし必死になる様子も可愛い。 ーーこれはオレが我慢すればいいだけ。 オレがどれだけ聖に触れたく、弄り愛し、性のある行為をしたいかなんて。 ピュアで穢れの知らない人間でもある聖にはそのままでいて欲しいから。

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