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第9話「一難去ってまた一難」

「てめえゴルァ‼︎ 眼鏡野郎‼︎」 そいつの姿を見るなり掴みかかる。 平然とした(ツラ)で俺を見つめる眼鏡はまた俺の苛立ちを煽る。 「てめえ、まさか生徒会だったとはな。で、俺を生徒会に推薦するとかどういう事だよ‼︎ いったい何考えてんだよ‼︎」 「べつに。君は学年での成績がトップだったし、生徒会に推薦するのは妥当かと思っただけだよ」 「俺は降りる。誰が好き好んでてめえみたいなやつと活動を共にしなくちゃなんねんだ。まっぴらごめんだ」 ベッドに座っている眼鏡を見下ろす。こないだはずっと見下ろされてたからな。 (今はそのムカつく顔を見下させろくそが‼︎) 「……………」 心の中で罵声を浴びせしばらく睨みつけていると、眼鏡は黙ったまま俺の顔をジッと見つめてくる。 そしていきなり俺の腕を掴み引き寄せられた。 「ぬぉっ」 そのままベッドに押し倒され、見下ろす立場が逆転する。 「てめ……退()けよ」 「(あらた)ってさぁ、頭良いのに状況把握能力が著しく欠けてるよね」 「はあ? てめえの頭がおかしいだけだろ」 挑発するように言い放ってやると、眼鏡はぬっと俺の顔に顔を近づけてきた。 「ち、近ぇっ…離れろ‼︎」 「なぁ、お前はもう俺の犬なんだからさ」 ゆらりと眼鏡の瞳が眼鏡越しに変わったのが分かる。 あの冷たい目―― 「いい加減、黙って従えよ」 低くてドスの効いた声が落とされる。そして眼鏡は俺の両手をネクタイで締め上げた。 ほんと、目にも留まらぬ……いや、とてつもなく器用に。 あまりの手際の良さと強い力に、俺は抵抗する事ができなかった。 「やめろっ‼︎ 何すんだよ⁉︎」 「何ってお仕置き? 時間も守らない、主人には牙を剥くそんな犬にはきついお仕置きが必要かなって」 「誰がてめえの犬なんっ⁉︎」 力強く引き寄せられあっという間に唇を奪われる。強引に俺の口をこじ開け眼鏡の舌が入ってきた。 「んぅ、はっ……やめ、んぅっ」 「は……なぁ新……」 唇が唾液の糸を引きながら離れていく。 困惑する俺を見下ろしながら、眼鏡は恍惚(こうこつ)とした表情でニヤリと笑った。 「今からきつーいお仕置き。しようか……」

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