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第15話「くそ眼鏡が」

(ムカつくムカつくムカつく‼︎ なんだよ‼︎ 人の事馬鹿にしたように笑いやがって‼︎ 大体、不良イコール煙草にすんな‼︎ 決めつけやがって‼︎ くそ眼鏡くそっ‼︎) あの後、俺は笑い続ける眼鏡の腹に一発お見舞いしてやった。 腰痛かったし、ケツん中もまだ気持ち悪りぃから力あんま入んなかったけど確実に急所は突けたはずだ。 ざまあみろくそ眼鏡が‼︎ 「ああーっ‼︎ ムカつく‼︎」 眼鏡の事で苛立ちを積もらせながら俺は早足で教室に戻ることに。 ちょうど休み時間だったからか校内は騒がしくて、教室に入ろうとした時に中から出てきたやつと肩がぶつかってしまった。 「わ、わりぃ」 咄嗟に謝りながら視線を向けると、肩をぶつけた相手はあの大崎(おおさき)だった。 「……渋谷(しぶや)君」 大崎はその場で足を止め、何やら俺の方をじっと見つめてきた。いや、実際には大崎の目は長い前髪で隠れていて見えないからどこを見てるのかわかんなかったけど。 「何?」 黙ったままの大崎を不思議に思っていると、大崎は小さく口を開く。 「………上城(かみしろ)先輩と一緒にいた?」 「――⁉︎」 いきなり大崎の口から眼鏡の名前が出たもんだからつい目を見開いてしまう。自分の顔が一瞬にして青ざめていくのが分かった。 (…まさか保健室での事を見られてた?) 「な、なんで?」 「……上城先輩のにおいがする」 「は?」 大崎が呟くとほぼ同時にチャイムが鳴り、大崎は教室の中に戻っていってしまった。 (におい? なんだよそれ……べつに何もにおわねぇぞ?) 自分の体を嗅いでみたけど、本当に何もにおわなかった。 大崎の言ったことを疑問に思いながら、俺も席につく。 ふと大崎の方を見ると、俺を見ていたのか慌てた様子で顔の向きを変えていた。 (一体なんなんだ…?) 大崎が言ったがなんなのか、結局何も分からないまま授業が始まった。

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