18 / 38
第18話「明日なんか来んな」
「はぁぁぁ…」
家に着くともう21時を過ぎていた。
秋人 と一緒にいると、ついつい話が長くなる。
「やっぱあいつ、びっくりしてたな……」
俺がケンカで負けたと口にすると、秋人は初めは「絶対にあり得ない」と中々信じてくれなかった。でも、しょぼくれた俺の態度で悟ったのか…というか勘違いしたのか…なぜか体を鍛え直せと叱られた。
秋人が筋肉の話を始めると後が長いから早々に話を変えたのはいいけど…
『2センチ伸びたぞ‼︎』
自分で聞いておきながら悲しくなった。この数カ月でどんな急成長してんだよ。
俺なんか全然伸びてねえのに。
「あ"ーっ!」
(高身長全員滅べ……身長が高いからって調子に乗りやがって)
部屋に入るや否や、ベッドにダイブ。この瞬間が最近じゃ一番好きかも。
母 さんはまだ家に帰ってない。そのせいか、俺ひとりきりの家の中は静まり返っていた。
というより、この頃母さんは家に帰って来てない。
こないだ知らない男が家に来てたけど、べつに気にはしなかった。
母さんが今、どんな仕事をしてるのかなんて派手なドレスと化粧を見れば一目瞭然だ。
でも俺は何も文句を言える立場じゃない。散々母さんにたくさん迷惑かけちまったし、心配する母さんを無視して……あれほど母さんを傷つけてしまったんだから。
だからこそ、俺は態度で示すんだ。俺は変わったんだって…
それから母さんに恩返ししなくちゃならねぇ。だから…あんなくそ眼鏡に邪魔されてる暇なんかないんだ。
なんとかしてあいつから俺の興味を逸らさなければ俺の高校生活に未来はない。
「どうすりゃいいんだよ……」
ため息をつきながら枕に顔を埋 めると、携帯が鳴った。秋人からのメールだと思い、携帯を開く。
メールは2件来ていた。ひとつは秋人から。
“今日はあんがと‼︎ また会おうぜ‼︎ あと、筋トレしろよな‼︎”
「しねえよ……」
そういう事に対しては抜かりのない秋人。思わず笑ってしまう。
そして、もうひとつのメールを開いた。
差出人を見るとすぐにわかる。あのムカつく眼鏡からだと。
“明日、朝7時半に生徒会室に来い。遅れるなよ”
命令口調でまた呼び出し。しかも7時半って……
「早過ぎだろ……」
明日になってほしくねえ。
ともだちにシェアしよう!