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第21話「非常識」
昔から、俺はダチの言う事は素直に信じた。むしろダチの事を信じねえやつの気がしれない。
一番に近くにいて、一番に俺の事を分かり合ってくれるダチを俺は一番、大事にした。
友情ってのはそういうもんだろ。
だが、今日は違う。
「どうなの? 俺の目は3か?」
二度と秋人 を信じるもんか‼︎‼︎‼︎
「そ、そうだな…」
「何?」
「いいえとても綺麗なっ――」
っとうぉい‼︎ 危なくこいつのペースに飲まれるとこだったぜ。
そう簡単にてめえに良い口きいてやらねえよ‼︎
「うわっ、く、首舐めるなっ」
「綺麗な何?」
くそっ‼︎ くそっ‼︎ 秋人の野郎、次会ったらぶん殴る‼︎
テキトーな事教えやがって‼︎
くっと歯を食いしばるりながら頭の中でヘラヘラ笑う秋人の顔をぶん殴る。
そんな妄想してる時に、こいつは眼鏡をかけ直し、どす黒い笑みで耳元に近づいてきた。
「ってことで。お仕置きな?」
低くて濁りのない声。腰んとこがぞくっと震えるような悪魔の囁き。
「やっ――」
両手を頭の上で拘束される。そして、眼鏡の左手が俺の服の中に入ってくる。
「てめっ…」
「まだあいつ来てねえし、ちょっと遊ぼうか」
「あ、あいつ⁉︎」
あいつって事は……ここに誰か来るって事じゃねえかよ‼︎‼︎
「ひ、人来るんだろ⁉︎ 今すぐ退 けよ‼︎」
「いいよ。来るまでお仕置き」
なんてこいつは非常識なんだ‼︎
朝っぱらから人が来るこの場所でこんな事‼︎
いや、そもそも男を襲う時点で非常識だ‼︎
「ぅっ、やめっ」
「嫌そうな顔してねぇけど」
「ふ、ざけっ…朝っぱらから…盛ん、なっ」
「いいね。その顔…すげえそそる」
「っ‼︎」
忘れていた。
こいつはとんでもないドS野郎だった。
俺が嫌だと言えば、さらにこいつは興奮するんだった。
こんなの逆効果だ――
「あっ、そ、こはっ…」
「乳首勃ってきたじゃん。お前だってこんな朝から俺にこんな事されてさ、そんな顔で気持ち良さそうな声出して」
興奮した眼鏡は自分のネクタイを緩め、あのどエロい声で囁く。
「淫乱」
体の力がふっと抜ける。
このままじゃ、保健室の時みたくまた犯されるっ――
「こ、のっ…へん」
この変態ドS眼鏡‼︎ と、叫んでやろうと思った時だ。
「っ‼︎」
「……?」
誰かが、背後から眼鏡の頭を本で叩いた。
「白昼堂々、セクハラしない」
「っ……てぇな」
叩かれた頭を撫でながら、眼鏡は不機嫌そうに眉をしかめ俺から体を離し、声のする方へ振り向く。
「樹 ――」
眼鏡がそう呼ぶ人物。目をやると、そこには見事に着こなした制服に身を包む、日本人離れした綺麗な男がいた。
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