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第36話「拒絶」

冷たい瞳で見下ろされ、手首を強引に掴まれたかと思ったらそのまま勢いよく壁に手をつかされた。 人気のないこの時間に、眼鏡にまた犯されてしまう。 「いっ……やだ、やめっ」 痛い。引き裂かれるような痛みが走る。 前戯とかは何もなく、俺のズボンを脱がすなり、眼鏡はいきなり挿入してきた。 「いてぇっ、やめろっ……う、あ」 (こいつまじでありえねぇっ……) 「いやだって言うわりには嬉しそうに俺の咥え込んでんじゃん」 そう言って吐き笑う眼鏡は俺の腰を掴んで強く腰を打ちつける。 中を掻き乱すような動きに体がビクンと跳ね上がった。 「はっ、今軽くイった?」 耳元でそう囁かれる。 耳に響く眼鏡のえろい声にまた体の奥が疼いてしまう。 そしてそのまま眼鏡は右手で俺のを弄ってくる。 先っぽを親指でグリグリされその快感が全身を伝う。 体に電流が流れるみたいに、眼鏡に犯されてるとこ全部が熱くて自分のじゃないみたいな声が出る。 「ひゃあっ‼︎ いっ、ぁっ……ああっ」 「っ……(あらた)…お前の中すげえ締まってる」 いやだ。 また こいつにイカされる。 「新……」 乱暴なくせに、どこか優しく眼鏡は俺の名前を何度も囁く。 大切に思ってるみたいな声で―― 「っ、かい…ちょ…」 どうしてかそれがつらくて、苦しくてたまらなくて、俺は会長の名前を呼んでしまった。 「会長…あっ……かい…ちょぅ…」 声に出してみると我慢していた涙があふれた。 会長の優しい手を思い出す。 ついさっき会長への気持ちを自覚したばっかたっだから、余計に眼鏡に犯されている事、眼鏡に快感を与えられている事がひどく嫌だと感じた。 本当は、会長が言った「成海から守ってあげる」って言葉に少し期待してしまっていた。 もしかするとここで会長が助けにきてくれるんじゃないかとか、そんな事も願ってしまったけれど、今は授業中だし、仮にもし会長が助けにきてくれたとしても、きっとこんなとこを会長に見られたらそれこそ俺はおしまいだ。 「助け…て…っ、会長っ…」 わかっているのにそれでも止まらなかった。 「黙れよ」 「っ⁉︎ ふ、んん…っ‼︎」 口の中に眼鏡の指が入ってきて舌を掴まれた。 声が出ない。 舌を引っ張られ嗚咽がこぼれる。 「やっ、ぐっ…ん、んん…」 体が前後に激しく揺れた。 眼鏡の動きは乱暴さを増し、目の前がチカチカと点滅する。 気持ちよくない。 痛い。 苦しい。 息ができない―― 「ふぇっ……かぃ……ちょ」 いやだ。 もう、解放してほしい。 「お前は俺だけに縋って、俺だけに強請(ねだ)ってればいいんだよ」 耳に響く眼鏡の声。低くて、体の奥が疼くようなその声に体が反応してしまう。 俺は、眼鏡なんかに縋りたくない。 強請りたくない。 こんな、無理やりする行為なんか気持ちよくない。 はずなのに―― なんで俺の体…… 「んんっーー‼︎」 「っ……」 大きく腰を打ちつけた眼鏡が僅かに震えた。 眼鏡は俺の中で果てた。あつい液体が俺の中を満たし地面にこぼれ落ちる。 足がガクガクと震えて崩れ落ちるようにその場に膝をついてしまった。 「新……」 さっきまで乱暴だったくせに、終わったら眼鏡は優しい顔をする。 自分でこんなことしたくせに、心配してるような顔で俺を見る。 なんでお前がそんな顔すんだ――。 「っ……らいだ」 「……?」 「お前なんか……っ嫌いだ」 本当に、俺はこいつが嫌いだと、心の底から思った。

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