蛇さんとみゃーみゃーさんと飼い主の三人に会ったのは十歳かそのあたり。だから、オレはわりと神様と一緒に暮らしていた気がするけれど記憶はあいまい。小さい頃のことを全部覚えてるわけもないしね。 　神様は多忙だったから毎日べったりって感じじゃなかった。だから、淋しい思いをさせてごめんって神様はよくオレに謝ったし自分と居るよりはいいって飼い主にオレを譲った。でもオレはわんわんなわけだから室内犬の放置っぷりはこんなものじゃないのって思ってた。 　 　神様は物凄く優しいけれど躾とか礼儀は結構厳しい。あとでオレが恥をかいたり困ったりするからって、頭空っぽなオレにちゃんと教え込んでくれた。きっと物覚えが悪くて投げ出したいだろうところを感じさせない神様は神様だった。 　神様以上に周りは厳しく能無しは許さないとばかりに計算ドリルとか漢字の書き取りとかいろいろやらされた。飼い主のところに来てからは肉体的な訓練が主だった。わんわん度が日ごとに増してる自分に満足していたある日、飼い主から言われた言葉が――。 　 『学校行くか』 　 　だったのは捨てられる布石かと思ったよ。違ったけど。 　神様からオレを遠ざける一環として全寮制学校なんてものにいれようと画策しているのかと思ったら、蛇さんの趣味と新しいビジネスのためらしい。 　まわりまわって神様のためになるというので、オレは猛勉強でお金持ちの子息を隔離するための男子校に入学した。 　 　入学してすぐに顔を一方的に知っている有名人の息子たちを発見したので覗き見して恥ずかしいネタや弱みとか色々をゲットゲット。 　蛇さんにそれをスクープだって伝えたら全然違うと呆れられた。 　学校内での醜聞は学校内で処理するのが決まりらしい。個人的な性的嗜好とか後々まで引っ張れるネタならストックしてもいい。 　けれど基本的に卒業後にあれやこれと難癖をつけるのはＮＧだって注意された。 　そんなローカルルール知るか。