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08 有り難くもらっておく。
「わんわんはある意味王道くんだよねぇ。過去あり主人公ってヤツ? 身体能力は忍者で学力面も優秀とかチートじゃん」
蛇さんが細い目をさらに細めて笑う。蛇さんなのに狐顔。神様だって仏顔ってよりも女神様って感じだから名前だからいいのかもしれない。
「生徒会長とデキてんだから、なおさら王道だねぇ」
「で、別れるためにはどうしたらいいんですか?」
蛇さんは見た目が二十代後半に見えるけどきっともっと年上。
ポチたまを回収しにきた幹部その一と同じぐらいかそれより年上のはず。
それなら四十代後半もあり得る。
若作り過ぎて引く。
年齢不詳の人間が多いけど蛇さんは、きっと蛇の生き血を吸って生き長らえているんだ。そうに違いない。以前マムシエキス入りのドリンク貰ったことがあるからそれが若さの秘訣だ。
「え? 何で別れたいわけ?? 身体の相性悪いの?」
「比べてないのでそこは何とも」
「……手が早くて節操なしのアイツがキミにだけ手を出してないんだったねぇ」
アイツというのは飼い主のことだろう。
飼い主は性欲がすごい。
男も女も朝となく夜となく性的に食い散らかす。
片づけはオレの仕事だった。汚れまくったシーツを洗濯して散らかったアダルトグッズを洗浄して仕舞いなおす。
よく考えると子供にやらせることじゃない。
精通前から飼い主の情事を見たりしてたのでオレの感覚はちょっとズレてるし狂ってる。
「わんわんってば愛されキャラ~」
キャハっと笑う蛇さんにちょっぴりイラッとしていたらチョコレートをもらった。苛立たせたお詫びだろう。有り難くもらっておく。
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