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閑話 俺の行動パターンを読んでいた。

     俺は自分の性癖が変態的だと思ったことはない。  いたってノーマルな男の筈だ。  恋愛相手に男を選んだりもしないし結婚相手も順調にいけば高校入学前に見合いをした相手と卒業前に婚約をして大学在籍中に籍を入れてだ卒業時に式をあげただろう。    俺は圭人という男という以前の運命の相手と出会ったので見合い相手と学園の休み毎に組まれていたデートは全部キャンセルしたし婚約関係の話も全面的になかったことになった。両親は俺にとても甘いから俺の意思を無視することはない。たとえ圭人とのことが祝福されなかったとしても反対されることはないだろう。    話は戻るが俺は変態ではないと思う。シーザードレッシングが顔についた圭人の顔を舐めてちょっと嫌がられたりしても変態じゃない。白いモノがついた圭人の顔に欲情するのは誰でも起こりえる普通の反応だ。サラダにかかった白いモノをドレッシングじゃなく俺の精液にしてしまいたいと思ってもそれは仕方がない。圭人が口に入れる白い液体が自分の精液にしたいと誰だって思う。俺は飲むヨーグルトをゆっくり飲んでいる圭人の朝の姿にいつもムラムラしている。    牛乳は温めたものじゃないとお腹を壊してしまうらしいので朝は冬だけホットミルクを飲んでいる。飲むヨーグルトは冷たくてもいいらしい。ホットコーヒーをその後に飲んだりもするから冷たいものは得意じゃないんだろう。    蜂蜜が入った甘みのあるミルクを飲む圭人はかわいい。両手でマグカップを持って息を吹きかけながら飲む圭人。朝はゆっくりしすぎると遅刻するから基本的に熱いものを飲みたがらない。けれど冷えた日には温かいミルクを飲みたがっているのを知っているので俺は冬の朝にきちんと用意している。    調理しながら飲んだ半分、ぬるいよりも程よく飲みやすい温度になっている半分の量のホットミルクとオムレツサンドイッチ。これは黄金コンビらしく用意をすると目に見えて嬉しそうな空気を放出してお礼を言ってくれる。目は口程に物を言うとはよく聞く言葉だけれど圭人は表情は動かないわりに雰囲気やオーラの変化が分かりやすい。いいや、分かりやすくしてくれているんだ。    美味しそうに俺が半分減らした黄色い蜂蜜を垂らした白濁液という名の牛乳を飲む圭人。エロテロリスト。寒い日も朝からホット。純真無垢な天使の顔で「体温高いな」と冷たい手を俺の背中に入れてくる小悪魔。冷え性というわけではないだろうけれどお腹が冷えやすかったりする圭人は冬の厚着がすごい。部屋の温度も高めにしないと服を脱いでくれない。着衣のままもエロティカルなのでいいのだけれど脱がないのは冬に限らない。    今も俺が脱がした下半身は何もつけていない状態だけれど上半身は少し乱れながらもきちんと着ている。というか圭人が自分で脱ぐことはほぼない。俺が触りたいから脱がせているだけで嫌がったり拒絶はしないけれど圭人は服を着たままでいることが多い。   「圭人……寒い?」    エッチなことをしていると体が熱くなって服なんかいらないって感じていたのは俺だけで実は圭人は寒かったりするんだろうか。思いつきもしなかったけれどすでに俺の手の中には秘策がある。   「別にすごい寒いわけじゃないけど」    下半身が気になるらしい。チラチラと四つん這いの状態で自分の股間に目を向けている圭人。ちょっとやらしい。   「何したいんだ?」    いつもならもう挿入してるだろと副音声が聞こえてきた。   「温感タイプのローションを使ってみようかと思っているんだけれど」 「冬に何種類もまとめ買いしてたやつ? いいよ」 「知ってたの? 圭人、知ってたの??」 「は? 逆に何で知らないと思うんだ」    一緒に暮らしているといっても俺は左岸から受け取った通販での購入物を圭人から見えないようにこっそりと寝室に仕舞っていた。どこでもエッチが出来るように手を伸ばしたところにローションを置いていたとはいってもアレを試そうコレを試そうみたいな思惑が透けていたとは知らなかった。    白濁液というかドレッシングがかったミニトマトを圭人はフォークに乗せて食べる。上手くいかずに器に転がり戻ることもあるミニトマト。面倒になったら最終的に手でつまんだり犬食い状態になったりするけれど基本的にはフォークに乗せて口元へ運ぼうとする圭人。突き刺さないのは破裂を恐れているからなのか口の中でトマトが弾ける感覚が好きだからなのか。    以前、ミニトマトを切ってサラダにしたら残念そうな顔をされた。口には出さなかったけれど裏切ってしまった気がしたのでそれ以降は基本的に切ることなくサラダに使っている。   「昨日に俺のかい、……保護者がぶちまけた段ボールの中身とかはソファの横に置いてある」    よく出来た俺の嫁はさすがに俺の行動パターンを読んでいた。

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