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6/23(日)
響くシューズの音とボールのドリブル音、女子の声援。
翌日、宗平の活躍を見に来たはずの俺は宗平よりも先に見つけてしまったその人物に驚き顔を青ざめさせる。
なんで…!長岡がここに…!
端でアップを始める宗平と既に試合に参加する長岡。
「すごい!裕大くんまた得点に絡んだよ〜!1年のこんな時期から試合出させてもらうだけあるー!」
「身長あんだけあると有利だしねー。」
先客の女子2人がキャイキャイ言いながら長岡に熱い視線を向けている。
そうだ…俺だって最初はバスケ部にいそうな長身だと長岡のことを思ったのだった…。
会話内容から察するにだいぶ活躍しているようだが…まだ自身での得点は叶っていないのだろうか?
まぁまだ3年の先輩も引退していない時期だ。
そんなに活躍できるものでもないし、してしまうのもそれはそれで問題なのだろう。
女子2人の後ろを通り奥の席に向かおうとした時、突然2人が大声で「裕大くーん!」と叫んだ。
ちょっ…それどうなの、先輩もたくさんいるのに1年をそんな注目させるって…!
焦りと若干の呆れを浮かべ2人を見た後コートに目を向けると驚きの表情を浮かべる長岡と視線がかち合った。
「っ!」
思わず顔を背けてしまう。
俺が来てることがバレた…!
別にやましいことをしに来たわけではないのだから隠れる必要など無いのだけど学内で長岡と顔を合わせるのは実はこれが初めてだったりする。
その上、昨日はほぼ1日長岡とベッドにいたので妙に気まずい。
というか長岡の奴…翌日に試合が控えてたってのに1日中ベッドにいるってどうなの。
本来は「よく休んで明日に控えろよ」って日だったんじゃないの?
ベッドの使い方間違ってるよ。
おずおずと視線を戻すが既に長岡からの視線は外され試合が再開されていた。
1つ息を吐き出して空いている席に腰をかけ試合を観戦する。
…長岡、やっぱ目立つ…
身長もあるのだが、男らしくも甘さのある整った顔立ちが目を引くのだ。
そしてその体格の良さを伺わせる肩が目に入る。
服着ると案外目立たないんだな…。昨日、見上げた肩は…
など、不意に脱いだ時の長岡の姿を思い出し1人赤面する。
外で何考えてんだ!俺!
雑念を消すかのように頭を振っていると聞こえてきた笛の音に意識を戻される。
宗平が先輩と交代でコートに入るようだ。
適当に来たのだが、なんとも良いタイミングで観戦に来れたらしい。
席を立ち柵に寄りかかると宗平が俺に向かい笑顔で拳を上げているのが見えたので、俺も同じように拳を上げ微笑んでみせる。
するとその向こう側にいた冷めた表情の長岡とも目が合ってしまった。
復讐相手が普通に学校生活を送っているのが気に入らないのだろう。少し不機嫌にも見えるその顔になんだか居た堪れなくなり俯き席に戻ると先程の女子2人から「きゃぁっ!」と悲鳴に似た歓声が上がった。
その視線の先を追うと…そこには先程よりもずっと勢いのある攻め方をする長岡。
女子2人以外の観客からも歓声が上がっている。
どうしたのだろう。先程までも目立ってはいたが、あそこまでではなかった。
そして…
パシュッ…!
「きゃぁぁぁー!3P!!裕大くぅぅんっ!」
長岡が3Pシュートを決めた。
1年がそんなに目立って良いのかよ。と冷や汗をかくが、この部内には後輩を育てる環境がきちんと出来上がっているらしく、長岡は小突かれながらも笑顔で上級生と言葉を交わしていた。
ホッ…と息をつくと長岡と目が合う。
「……!」
何を思ったか長岡は、こちらに向かって笑みを浮かべた。
それにまた女子2人が騒いでいたが、何故か俺は頬の熱さを感じるしかできなかった。
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