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6/27(木) 2 from宗平

春人が俺らに嘘を吐いている…? いや、嘘を吐くなんて普通にあることだ。 問題はそこじゃない。 彼女でないのなら、相手は…? 裕大はあの後何も言わず、困惑する俺を残して部活に行ってしまった。部活に取り組む姿も普段通り。 対する俺はいくら集中しようとしても、意識が裕大のあの言葉に引っ張られてしまいコーチから注意を受ける始末だった。 それから3日。 こんな話、本人の知らないところで暴露されるのは気分が悪いと知りながらもどうしても気になって遂に今朝、朝練終わりに裕大に聞いてみたが「本人に聞けば?」と軽くあしらわれてしまった。 本人に聞けるような内容なら俺だって聞いてしまいたいが、内容が内容だけに聞きづらい。 どうしたものか…。 「しかし品行方正なお嬢様の中にも頭のおかしい子ってのはいるもんなんだねー。」 光汰がボヤいた言葉になんとなく視線を向ける。 そう。あの首の痕はどう見たって普通ではない感じがするし、彼女に付けられたと言うだけでも驚きなのに彼女以外の誰かに付けられているのだとしたらもっと驚きだ。 「彼女とはちゃんと別れられそうなの?」 瑛二に尋ねられ考えるような素振りをする春人。 関係を解消するのはたぶんまだ無理だろう。 先週末も会って、位置は見えにくいが…それでも前のと同じくらいの強烈な痕を残すような子だ。 きっとまだまだ春人を手放す気なんて無い。 「いや、でももう3週間くらい会ってねーから…」 「え?」 春人の返した言葉に驚き思わず声を上げてしまう。 人が目の前で嘘を吐く瞬間を目撃するというのはこんな感じなのか…。 って、そうじゃない。 春人が驚いた目でこちらを見ている。 まずい…嘘を吐いている確信が得られてしまった今、これは本当に春人にとって触れられたくない事柄なのだろう。 光汰や瑛二の前で問い詰めるようなマネなどできないし、そんなことしてしまえば秘密を暴くどころかせっかく出来てきた2人と春人との関係を俺が崩してしまうことになる。 「悪い。別のこと考えてた。」 とりあえずそう言って笑ってみせるが苦し紛れなのは誰の目からも明らかだろう。 どう乗り切ろうかと考えていると光汰が俺の肩に手を回し、恋の悩みかと茶化してくるのでとりあえずそれに合わせる。 ひとまずは助かった…。 空気を変えられたようで安心するが、春人が嘘を吐いているという確信が、更に裕大の言葉を強めたような気がして、俺の頭を掻き回した。

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