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6/27(木) 3 from宗平

俺は、もし付き合うならきちんと相手のことを知り、惹かれあった上で付き合いたい。 どんなに美人であったとしてもよく知りもしない子からいきなり告白されたとしても付き合えないし、体の関係だって彼女としか持ちたくない。 この考えは中学時代の友人に驚かれたがこれが原因でとても不便をしたという覚えは特になかった。 彼女は過去に2人できたしどちらともそれなりの関係や付き合いを構築できていたと思う。 むしろ付き合っていた当時、俺のこの性格は彼女たちに歓迎されていたようにも感じる。 世間で言うところのセフレやら何やらを持つ人の考えは申し訳ないが俺には理解できないし、逆に虚しくないのだろうかと彼らが心配になってしまったりもする。 だから、今目の前にいる春人がもしかしたら俺の懸念する存在なのではないかと言うことがとても気がかりだ。 「体育やだなー。なんで暑い中更に暑くなることしないといけないのー。」 光汰がぶつくさ言いながら体操着を取りにロッカーに向かう。 「じゃあ俺も着替えてくるからまた体育館でな。」 そう言って春人はトイレに向かった。 彼女によって付けられた痕が首のみならず身体中にあるため見せるのが憚られるという理由で、春人は転校当初から決まってトイレで着替えをする。 もちろん水泳の選択授業も取っていない。 そういえば、梅雨時期特有の蒸し暑さがある今時分でも春人は半袖にはならないどころかジャージの首元は常に1番上まで閉じたままだった。 身体中に痕があるというのは嘘ではないのかもしれないが、ならそれを付けたのは誰だと言うのか。 俺は春人と知り合ってまだ3週間しか経っていないが、俺の中でのセフレ持ちの男性のイメージと春人は大きく異なっていた。 彼女ではない… だがああいう痕を作るような行為をする関係… やはりセフレか…? いや、でも… 「どうした宗平?まじで元気ないな。」 体育館前で落ち合った春人が心配し俺の顔を覗き込む。 その角度に、4日前に見た首の痕が思い出されて思わず顔を逸らした。 「なぁ、宗平どうしたの?」 「知らない。」 瑛二の簡潔な答えに所在無さげに立ち竦む春人は眉を下げ口をむぅっとしている。 「ていうか春人。その腕の取んないの。」 瑛二のその言葉に俺も春人の腕に目をやる。 片方には腕時計、もう片方にはジャラジャラとこれでもかと付けられたアクセサリー。 今週始めから登場したそれらはこれから体育だというにも関わらず春人の手首で目に痛いくらいにその存在を主張していた。 「いーの。これはファッション!」と本人は主張しているがどちらもかなりキツく締められているため春人の腕で遊ぶ余裕も無いようで、血が止められているのでは?と心配になってしまう。 結局俺らの忠告を無視し頑としてそれを外さなかった春人は、当たったボールによって時計にヒビを入れられ絶叫していた。

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