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7/21(日) 2

「ロクトさんが一枚噛んでんのかしら…」 マイマイの口から初めて聞く名前が飛び出した。 聞けばロクトさんというのはマイマイと同じ大学の2つ上の先輩で去年の冬に大学を中退するまでここに下宿していたらしくその間、長岡とも交友があったと人伝てに聞いたことがあるという。 「すんごい目立つ人だったのよー。男も女も見境なしに手ぇだしちゃって。悪い噂も絶えなかったけどそれでもどんどん人が寄ってくる不思議な魅力のある人だったわ。」 ちなみにマイマイと彼との関係を聞いてみたが、マイマイからすれば魅力はあるが食指は動かないタイプだったらしい。 そしてマイマイの予想ではその人が何かしらの影響を長岡の行動に与えているのではないかとのことだ。 「何かって…?」 「さぁ?アンタの方が一緒にいる時間長いんだし自分で調べてみなさいよ。スマホ見ればラインでも残ってんじゃないの?」 「…」 マイマイの言葉に嫌な記憶が呼び起こされ気分が悪くなる。 「それよりマイマイはどうやって長岡をオトすつもりなんですか?」 話題を変えようとずっと思っていた疑問を投げる。 マイマイは身長が181cmあるにも関わらず自分より大柄な男性を求めており、どうやら長岡に興味を持ったのもそういうことらしい。 普段は抱く側であるため自分より小柄な恋人がいたこともあるらしいが、本人としては本当は大きな体にめちゃくちゃに抱かれたいのだとか。 それを聞きあからさまにドン引きしてしまった俺に、それでも真剣に語ったのだから本心でそう願っているのだろう。 だが、長岡はたぶん復讐の延長で俺を抱いているに過ぎないだろうし本当は女性に興味があるのではないだろうか。 俺と長岡の身長差はたぶん20cmくらいあるからもしかしたら長岡の中では俺はギリギリ女のラインに入っているのかもしれない。許し難いが。 そう考えるとマイマイはだいぶ際どい所にいる。 「具体案は無いわね!でもきっとベッドにさえ行ければ私の勝ちよ!」 不確実すぎるその返しに、やはり長岡の趣向を探り少しでもそれに近付けておくべきか…と迷ったが、わざわざ自分から火に飛び込むような行為は二度としたくないと先程誓ったばかりである。やめておこう。 「…俺明日のキャンプの準備しないと。」 「なによ。急に話題変えたわね。」 まぁ迷子にならないように気を付けて楽しんできなさいよ、と瑛二と似たようなことを言うとマイマイは部屋を出て行った。 俺はそんなにも迷子になりそうな顔をしているのだろうか…。 何はともあれ明日は待ちに待ったキャンプだ。 こちらに来てから初めての外泊。しかも本当に外。 長岡のことを一時でも忘れられる嬉しさもあり逸る気持ちを抑えながらカバンに荷物を詰め込んだ。

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