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7/22(月) 3
思い返してみれば光汰は最初から里沙ちゃんを見ていたし、もしかしたら一目惚れだったのかもしれない。
まあ、見てると言っても緊張しまくっているため里沙ちゃんが光汰の方を向くと同時に光汰は目を逸らしてしまうのだが。
「バイトって何人募集してんの?」
「…1人。」
一応里沙ちゃんに確認してみるとたった一言、そう返された。
「じゃあ俺は他のバイト探すかな。」
「でも…結局採用か決めるのは私じゃないし面接だけでも…」
「いいよいいよ。光汰連れてってやって。」
そもそも着替えが必要なバイトであった場合は他の人と一緒に着替えるなど出来ないし、と思いながら答えると里沙ちゃんは説得のためか掴んでいた俺の服から手を離し残念そうな表情をする。
うーん。これはたぶん…。いや、でもここは光汰を応援したい。
結局その後里沙ちゃんがバイト先に電話をしてくれて2日後、光汰が面接を受けに行くということで話はまとまった。
だが…断ってしまったが実はバイトができないことを残念に思っていたりもする。
金が入用なはずの両親が「今は勉強に集中しなさい。」と言っていたため普段はバイトなどしていなかったが、夏休みだったら許されるだろうか。
困窮した生活であるはずなのに月々の諸費用が「お小遣い」として振り込まれていたのも心苦しかったし、何より自分で稼げば好きにできるお金が増えるし少しは進学の足しにもできる。とりあえず帰ったらバイトを探そう。
暫くしてバーベキューもお開きとなったがその後も里沙ちゃんたち女の子3人と話したり下流の方に釣りをしに行ったりして時間を過ごした。
宗平は最初に顔を俯かせていた女の子となんだか良い感じだ。
後から聞いて分かったことなのだが、里沙ちゃんたち3人は俺たちの高校がある駅の5つ隣の駅近くにある大学に通う1年生だったようで、まだ大学は夏休みではないが、本格派キャンプ女子の1人に「混む前に行こう。」と言われ今日はここにキャンプに来る運びになったのだという。
3つも年上の彼女たちにタメ口をきいた上「里沙ちゃん」などと馴れ馴れしく呼んでいたことに焦りを覚え「里沙さん」と呼び直したら盛大に笑われた。
そうして日が暮れた頃、里沙ちゃんたちは自分たちのテントへと帰っていき、俺たちは例のごとく瑛二と宗平が用意してくれた夕飯を取ったのだった。
「あれ?光汰は?」
トイレから戻ってくると先程まで一緒に灯りを囲んでいたはずの光汰がいなくなっていた。
「里沙ちゃんに呼ばれたとかでどっか行ったよ。」
宗平が里沙ちゃん達からもらったデザートを頬張りながら答える。そういえばデザートを持ってきすぎたとか言ってたな。
「光汰珍しく沢山喋って頑張ってたよな。今度こそ上手くいくかね。」
「さぁ。とりあえずパニクって変なことしてなきゃ良いけど…。」
宗平に尋ねられた瑛二が子供の行動を心配する親のように眉間に皺を寄せながら答えたのがやはりおかしくて笑ってしまったが、当の瑛二は俺に怪訝そうな目を向けただけだった。
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